#161
近くの神楽を観に
2015-3-28
宮崎に移り住んで楽しみにしていたのが、「神楽」を観ること。
宮崎は神楽が多く残っており、その数300を超えるとも言われています。有名なのは高千穂の夜神楽あたりでしょうか。
私自身、新興住宅地に育ち、地元の伝統行事とは無縁に育ったので、こういった伝統行事には関心があります。
宮崎は神楽や神話などが多く残り古き歴史を感じられるところなので、これから少しづつ学んでいきたいと思っていますが、先日宮崎公立大学(宮公大)にて「宮崎の神話について」というテーマで宮崎の神楽について公開講座があり参加しました。
民俗学がご専門で神楽に詳しい宮公大の永松敦教授が、そもその神楽とは何なのか、神楽が辿った歴史、そして宮崎の神楽のについての概要を話され、その後に宮崎市内にある野島神社の権禰宜(ごんねぎ・・・神社の職階の一つだそうです)である河野克武さんが、野島神社の神楽について話されました。野島神社の神楽の特徴、神楽を支える組織とその役割、神楽の舞いの動作について、など。
野島神社は浦島太郎伝説が伝わるところだそうですね。
永松さんがおっしゃっていたことで印象的だったのは、宮崎の神楽といえば高千穂や諸塚、西米良などの山沿いの神楽が有名であるが、宮崎市内にも30を超える神楽が残っており、それらもそれぞれとても素晴らしい、とおっしゃってたこと。
へー、神楽は山村にでも行かないと観ることができないもの、と勝手に思っていた私はちょっとびっくりしましたが。
しかしどこの神楽も後継者不足で悩まされており、市内に新しく移り住んでも近くで神楽が行われていることを知らない人がとても多いそうです。
野島神社の河野さんは、野島神社の神楽も他と同様に後継者不足に悩まされ、河野さんのご祖父さんがどうしても神楽を遺したいということで宮崎でいち早く神楽保存会を立ち上げ、野島地区だけでなく宮崎市内全域を地元ととらえ、中心市街地で出前教室を行ったりして野島神社の神楽の後継者を育てようとしていることを話されました。
神楽は、生き残りのために社会の状況に合わせて変化する時代になってきたようです。
そして講義の後は神楽の鑑賞会と称して、自由見学ですが永松さんおすすめの生目神社の神楽を紹介されました。
生目はうちの近所なのですが、こんな身近な場所で神楽を見ることができるとは。
ここの神楽は宮崎市の無形民俗文化財なのだそうです。
神楽の奉納は午後2時から夜中12時までという長丁場ですが、都合もあって我が家は夜に見にいきました。(娘も、見る見る!と、とても楽しみにしていましたが、移動の途中で娘は寝てしまい、願いかなわず)
夜の暗い道を神社に向かいましたが、地図を見ると近くまで来ているはずなのに、周りに見えるのは暗闇と民家の明かりばかり。
本当にやってるのかな?と思いましたが・・・
急な坂道を延々と上り、参道を奥まで進んで塀が切れたところをのぞいてみると・・・暗闇のなかにぽっかりと明かりが見え、にぎやかな音が聞こえてきました。
私の想像ではもっと大々的に行われているのかと思っていましたが、こぢんまりとした地元のお祭りのような雰囲気。初めての人はちょっと入りづらいかな?
舞はもう終盤でした。(次の日雨が降りそうなので早めに進ませていたようです)
四人剣
男性4人が剣を持って舞を舞います。
四方鎮守護神の舞だそうです。
杵舞
豊作を祝って餅をつく舞。
男性が杵を頭の上で回転させながら片足づつ上げて跳ねるのですが、
これがかなりキツいらしく、徐々に疲れていくのが分かります。
客席からは「おーい、もっとがんばれー」という温かいヤジが。
杵舞
村の女性に扮した男性が、
2人組の男性の上で舞います。
柴荒神
柴(榊)の荒神様。
仮面を被り激しく舞います。
田ノ神
神主さんが田んぼの神様と問答します。
これがなかなか面白い。
田ノ神さま、ちょっと酔っ払い口調です。
神主さんが世間話をしつつ、田ノ神さまが持っている様々なお宝を見て、
それは何ですか?と一つづつ聞き出し、最後にはお願いしてそれらをいただいてました。
これで今年も豊作、家内安全、子孫繁栄、間違いなしですね。
神送り
最後は皆で神様をお見送り。
お開きに当たって、
御幣をいただきました。
(説明は一部「宮崎の神楽」から引用してます)
とても神聖なものでありながらエンターテイメント性抜群で、観客と舞っている人たちの一体感が感じられ、とても楽しくて、じんわりと地域とのつながりの温かさを感じました。
ちょっとだけでしたが、観ることができてよかったです。
他の神楽もいろいろ見てみたいし、そこに込められた様々な意味も知ってゆきたいなあと思いました。
地域の貴重な財産です。ぜひ今後とも続いていくよう、応援してゆきたいです。
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