ツブヤキ #183
お役御免の娘の預金通帳
2015-8-15
まだ娘と特別養子縁組する前、娘が里子だった頃に作った娘の預金通帳。
帰省したついでにお金を全部引き出しました。
キャッシュカードはありません。妻が口座を開設する時に、子どもにはキャッシュカードを発行できないと言われたようです。預け入れと引き出しができるのは通帳でのみ。
宮崎に店舗の無い銀行だったので、宮崎ではこのお金を引き出すことが出来なかったのです。
ところで、この通帳を作る時の、妻の苦労話を。
私たちが里子を預かり始めて1年たった頃、それまでの「児童手当」がちょうど「子ども手当」に変わりました(現在は名称は児童手当に戻っていますね)。
以前は、里子を里親が養育していたとしても、原則として手当は里親ではなくて里子の「親権者(実親など)」が手当を受け取る仕組みになっていました。親権者が受け取る権利を放棄すれば里親が受け取ることができるらしいのですが、放棄しないことも多かったのです。
それが、政権与党が民主党に変わり、「児童手当」が「子ども手当」に変わった時に、子どもを養育している親が受け取れる仕組みになったのです。里子が里親に養育されている場合は、手当を「親権者」ではなく「里親」が受け取れるようになりました。
それで、手当を受け取るために里子の預金通帳が必要になりました。手当を受け取ったら里子の口座に入れ、手当を里親が私的に使わないようにするのです。
そのために妻が銀行に里子の預金口座開設に行ったのですが・・・
通常、子どもの預金口座の開設は親権者による手続きが必要ですが、里子の場合、親権者による手続きができない場合もあるのです。その場合は里親がしなければなりません。我が家はそのケースでした。
しかし、里子の「預金口座開設」の壁は高かった。
児童相談所からもらった書類や自分たちの住民票などを持っていき、「子ども手当」を受け取るために子どもの銀行口座が必要ある旨説明してもなお、すぐに開設はしてくれませんでした。
手続きに行った妻の話によると、行内での確認や問い合わせ等で長い時間待たされ・・・返って来た答えは「厚労省に問い合わせたところ、現政権が不安定であり来年度この制度が継続されるか分からない。口座は里親の手続きでは作れない」というものだったようです。
その後妻は3〜4回くらい銀行に足を運んでようやく子どもの口座を開設することができましたが、妻が怒り心頭で通帳を貰って帰って来たのを今でも覚えています。
今はどうなのか分かりませんが、親権者ではない里親が里子の通帳を作るというのは、実に大変なことだったのです。
そんな思い出のある預金通帳。この通帳を宮崎で使うことは出来ませんから本当は解約しようと思ったのですが、名義が娘の旧姓ですからその解約の手続きの面倒さは容易に想像出来ます。
ですから、預金は全額引き出し、解約はしないことにしました。
払い戻し用の用紙と通帳を窓口に出して、しばらくして窓口の方がTさん、と呼んでくれましたが、それが私は自分が呼ばれたとはすぐには気づかず、ちょっとしてからそれが娘の旧姓と気づき慌てて窓口に行ってお金を受け取りました。
娘の預金通帳よ、3年の短い間だったけどお疲れさま。
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