ツブヤキ #195
器を育てる
2015-10-28
先日、鹿児島県霧島市で行われた「第60回全国里親大会」に参加しました。
全国里親大会は、各県持ち回りで毎年日本のどこかで開催されるらしいのですが、私たち夫婦は参加したのは初めて。
里親会からもお知らせがあり、開催が隣の県だし、せっかくだから行ってみようか、と。
全国各地から人が集まり、総勢500人超。
今回の開催地が九州で、九州地区里親研修大会を兼ねていたということもあり、参加者の大半は九州各地からの人でしたが、私が埼玉に住んでいたとき里親仲間としておつきあいのあったFさんとAさんにもばったりと出会って、いやー嬉しかったですね。埼玉からはるばる鹿児島にまで来てくれて、こうして久しぶりにお会いできるとは。
埼玉の里親会も相変わらずのようで、お二人の口から飛び出す他の里親仲間の懐かしいお名前についつい頬が緩んでしまいました。
*****
ところで、一番のお目当ては分科会でした。
「ネグレクトと発達障害を背景とした かかわりの困難な子どもへの対応」というタイトルで、志學館大学の山喜高秀先生が話されました。
相談員という形で、5歳から委託され現在中学生の発達障害の男の子を育てているAさんと、ファミリーホームを運営し、育てている5人の里子のうち3人が発達障害というBさんが、それぞれ養育している里子の様子を話されました。
お二人の話を聞くと、なかなか苦労していらっしゃるなあ、と。
同時に、子どもたちを心配し一生懸命になっている姿に胸を打たれました。
Aさんのところのお子さんは登校と不登校を繰り返し、体育祭や修学旅行は出られるけれど普段の授業は遅刻の常連であったり、せっかく部活に一生懸命になったと思ったら次の年は部活に出なくなったり。Bさんのところの一番年上のお子さんはアスペルガー、ネグレクト、愛着障害・・・などありとあらゆる問題を抱え、ものを書くことなど人よりとても優れているものを持っている反面、空気が読めなかったり状況を判断するなどのことがなかなかできずに問題になることもあるようです。
発達障害は、誰でも少なからず持っている、発達の凸凹。
その凹(発達の遅れている部分)が大きくなりすぎると、社会生活にうまく適応しにくくなります。
山喜先生は、そんな子どもたちの様子を、器で表現してくれました。
子どもに問題が生じるのは、その子どもの成長に合った子どもの器が育っていないからだそうです。
器が小さいと、消化不良で溢れ出してしまいます。
その結果、子どもが問題を起こしたり、体調を崩したりします。
だから、器を育ててあげる。
赤ちゃん返りや退行も、その子の器がその状況に適応できるほど大きくなっていないこと。
さきほどのAさんBさんの例で、先生は、
不登校になったのも、悩むのも、大きな力なんです。
学校に行けないというのも、学校に行かないことがその子のお守りになるし、家でゲームばかりに没頭するのも、学校で皆と一緒ではない自分を感じ、自分は大丈夫か?ということを確かめる、それがその子にはゲームなのです。
とおっしゃってました。
そうすることで、自分の器を育てることができるのでしょう。
「最大の愛情は、期待しないことです。」
この言葉、心に響きましたね。
ちゃんとしてほしいとか、まわりとうまくやってほしいとか、親の期待って、子どもにとっては重いんですね。
でも「期待しない」ことで子どもが「器を育てる」ことができるのなら、親は自分の意識を変えなくてはいけませんね。
そして、発達の凹は埋めようとするのではなく、凸(優れた部分)を尊重し、凹はまあ大丈夫かと思う力をつけ、その部分は人に頼れるようにするのだそうです。
そう、人はそれぞれ凸凹を持っているから、お互いにその凹を補い合うように出来ているのですよね。
うちの娘は発達障害の気はありませんが、いろいろと参考になりました。
*****
娘は行きの車の中で「つまんないつまんないつまんないつまんない」って言ってましたけど、大人たちがお勉強している間に子どもたちは上野原縄文の森というところに遊びに行って、この日初めて会う他の里子ちゃんたちとも仲良くなって、楽しんできたようです。
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