ツブヤキ #206
子どもたちを温かく包んで 〜白熊さんのお話〜
2016-2-22
里親研修にて、「家族を紡いで」というタイトルで白熊繁一さんの講演がありました。
白熊さんはご自身もこれまで4人の里子を育ててきた板橋の里親さんです。
現在養育している里子たちは高校生、小学生、幼稚園生の3人。
前半ではこれまで育てた4人の里子についてのお話がありました。
現在高校生で、3歳の時に受託し、白熊さん宅に初めて来た時に所持品があまりにも少なくて、着ているものさえ施設の借り物で返さなくてはならなかったことに衝撃を受けたり、毎晩夜驚症に悩まされたM君。
ああそういいえばうちの娘もそうだったと思い出しました。
高校最後の1年を白熊家で過ごし、笑顔がかわいい子だったけれども外でいろいろとトラブルが多く、他の子を睨んだりしないほうがいいとアドバイスしたらそのように努力したものの、それからブロック塀を叩いて手を血まみれにして帰ってくるようになり、白熊さんの奥さんがその手を洗ってあげるようになったらやがてブロックたたきが収まったというNちゃん。
現在小学生で、2歳で受託、何事にも集中できず多動の発達障害だそうですが、キャッチボールが好きで、野球チームに入れてあげたら素晴らしい集中力を発揮し、チームで大活躍しているというS君。
4歳で受託したばかり、児童相談所から委託の話があったときは白熊さんはもう還暦間近で、この歳でこんな小さな子どもを育てられるのかと悩んだそうですが、いくつかの障害を持ち合わせており、自分たちが育てるしかないと決心し、他の里子とともに白熊家で生活しはじめたF君。
後半では里子以外の子どもたちとの関わりの話をしてくださいました。
親からの虐待で一時保護で預かった女子中学生が、ずっと虐待の恐怖で震えていたものの、家に戻ることになった時に、温かい食事や楽しく過ごせたことが嬉しかったと話してくれたこと。
何を話しかけても「ウィース」としか言わなかったピアスの少年が、白熊さんの里子のS君とキャッチボールをするようになってからS君と仲良くなり、ある日S君に野球のボールをプレゼントしてくれたこと。
白熊さんの話、とても温かかったです。
里親さんの体験談としては、特別珍しい内容の話ではなかったかもしれません。
しかし、その里子たちを温かく包み込み、じっと見守る白熊さんの人柄に、とても感動しました。
子どもたちの話をじっくり聞いてあげたり、温かい言葉を投げかけてあげたり、抱きしめてあげたり。
白熊さんが里親を始める時、里子を迎え入れる時に何と言って迎えようかと考え、「お帰りなさい」と声をかけた、とおっしゃいました。
ここはもうすでに君たちの家なんだよ、というその気持ちが、子どもたちが白熊家に来たときから、子どもたちの心に留まっていたのかもしれませんね。
この白熊さん夫婦の温かさに包み込まれて、子どもたちが心を開いていく様子を感じました。
家族を紡ぐ・・・
白熊さん夫婦は確かに、家族という糸を紡いで織った布で、子どもたちをしっかりと包み込んでいました。子どもたちもそれを受け継ぎ、大きな布となっていくことでしょう。
里親さんたちの話はそれぞれ感動するものがありますが、白熊さんの話は私の心に響き、最近娘に対し優しさに欠けているなあと感じた私は、私なりに「温かい気持ち」を心がけようと思いました。
白熊繁一さんの本
・家族を紡いで
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