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#23

根っこが好きになった

 このあいだの土曜日、日比谷公園の水と緑の市民カレッジで行われた「植物のつくりと根の働き」という講座に行ってきました。
 講師は東大大学院農学生命科学研究科の森田茂紀氏です。

 植物は、幹とか葉とか花とか実とか、地上部で見えるものは認識できますけど、根は地下にあるからその様子はなかなか分からないですよね。森田先生は、その「根」を専門に研究されている方です。

 植物の地上部の姿は、それぞれの植物によって様々です、花の色も違うし葉の形も違うし。でも、根の構造は「植物の種類ごとの違いがあまり無い」のだそうですよ。

 でも根はすごいです。「根冠」というヘルメットを被って、水を求めて土の中をずんずん突き進み、無数に張り巡らせた根の膨大な面積の根の表面から水を吸い上げる。根から吸い上げた水は幹に無数にある「導管」というパイプを通って葉に導かれ、葉の表面から蒸散されます。

 人間が高さ何十メートルまで水を上げるとすれば、巨大なポンプが必要ですが、木の場合は葉から蒸散する水によって根っこからの水は引っ張られるから、ポンプ無しで何十メートルの高さまで持ち上げることができるのです。蒸散速度と吸水速度を測ったグラフを見せていただきましたが、グラフの形はほぼ同じで位相が少しずれています。葉の蒸散と根の吸水が連動しているんですね。
 実は導管から上の水の流れるしくみはある程度分かっているものの、根についてはあまりよく分かっていないのだそうですよ。

 また、太い根からは細い根が無数に出るのですが、細い根は土の状態に応じて枯れたり新たに生えたりするそうです。ただ生えればいいってものではないんですね。また、根の量とか、深さとかも、その植物の生態によって適したようになっているんですね。根は実にいろいろな表情を持っているのです。

 でも根の研究は、地上部の研究と違って、地味で良く分からないし、地下だから手間もかかる。だから、論文の本数も少なくなりがちで、森田先生は「教授になりたければ根の研究はやめなさい」とちょっと自虐的に言っておられましたけど、一昨年科学雑誌「ネイチャー」に、あるライターが書いた「なぜ根か?」というタイトルで始めて植物の根についての記事がトップで取り上げられて改めて根にが脚光を浴びたそうで、「これからは私の時代です」とちょっと嬉しそうにおしゃっていたのが印象的でした。

 先生が目指しているのは「根のデザイン」。先生曰く、「根の遺伝的な背景および根の取り巻く環境をコントロールすることを通じて根の形態や機能を制御しようというアイデア」で、根がデザインできるようになれば、作物の増収や砂漠の緑化に貢献できると期待されているのです。

 なんだか、根がしおらしく見えてきました。人間は植物の地上部ばかり見ていますが、根はそんなことに目もくれず、見えないところで一生懸命水や養分を求めて働いているのですから。

 植物の根のこと、よく知らなかったし、あまり関心もありませんでしたが、このたび「根っこ」が好きになりました。

 ↓こんな本出されてます


2012-2-9

カテゴリー:気になる人たち

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