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#47

「とにかく子どもたちを守れ」という先生たち

 重い話というのは先延ばししたくなるもので、コドモの話とか山の話とかを先に書いてしまいましたが、すっかり時間が経ってしまいましたのでそろそろ先々月と先月に行ってきた講演会について、2つほど。

 まずは、6月下旬に地元で行われた、医師・肥田舜太郎さんの講演会。
 肥田さんは、日本政府が認めていない内部被曝について、自らが広島原爆の被害者を数多く診て調査したデータからその危険性を訴えた方です。

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 肥田さんについては、アップリンクで「核の傷」という映画が上映され、それについて以前書きましたのでそちらもどうぞ→「映画「核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝」から見えたもの

 講演の内容としては、この映画「核の傷」で紹介された内容に近いものでした。
 自らも広島の原爆で被爆しながらも多くの被爆患者を診続けたこと、そしてアメリカや日本政府に妨害されながらも密かにデータを取り続けたこと。
 アメリカと日本主導で内部被曝を考慮しない被曝の国際基準が決められてしまったものですから、肥田さんは国連事務総長に掛け合って、それまで肥田さんが撮り続けたデータを提出して、国際基準を変えさせたそうです。

 原爆による直接被爆では、患者はやがてすぐに亡くなってしまいます。しかし、内部被曝の場合、その多くは何年、何十年も生き残り、ずっと健康を害しながら生きていかなくてはならい。しかも、原爆が投下された時には広島にはいなかったのに、その後に広島に入った人にも同じ症状が見られる。しかし、アメリカや日本政府はそれを原爆による被爆の影響とは認めなかったのです。

 未だに日本政府は内部被曝を認めていません。そうしている間に、水、食物、空気を通して、多くの人が内部被曝していっています。
 肥田さんは、福島の子どもたちは、政府が責任を持って長野などに移すよう提案しているが政府は全くやろうとしない、と嘆いておられました。

「皆さんは、これから生まれる、皆さんの子孫のために、皆さんのためにとは言わない、皆さんはもうかなり年をくっちゃってるから、そんないいことしてきてないから、皆さんはもうどうでもいい(笑)、これから生まれてくる子どもにきれいな水と食べ物を残すために、全力をあげて原発は止めて欲しい。」
 原爆による内部被曝の恐ろしさを知っているからこそ、原発は止めて欲しいとおっしゃっている。

 では、私たち自身についてはどうしたらよいか。
「半分日本の政府からは見捨てられている皆さんですから、自分で自分の命に責任を持って明日から知恵を働かせて生きる努力を真剣にしてください。」

 冗談半分でおっしゃってましたが、それが現実。


 お次は7月に東京で行われた京都大学の先生、小出裕章さんの講演会。原子力の研究者でありながらその危険性について強く訴える数少ない方です。

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 未来のエネルギーと謳われた原子力に希望を持って原子力の道に入った小出さん。しかし多くのことを学ぶうちにその危険性に危機感を感じ、研究を通してその危険性について訴える道を選びます。
 当然原子力を進めようとする多くの研究者からは目の敵にされます。それでも小出さんは自分の道を貫き通しました。

 この日の講演では、原子力の研究者という立場で原子力とは、原発とは何か、日本に原発が導入された経緯、そして現状、などを話されました。
 (残念ながら小出さんと対決した スイシンジャー は来てませんでしたが。)

 小出さん曰く、福島第一原発事故により、3月11日からおよそ2週間、大気中に広島原爆400〜500発分の放射能を大気に、そして、同等分を海にもばらまいたであろうとのこと。

 そしてこの事故での、汚染の深刻さについて、法律という視点で分かりやすく説明してくれました。

 小出さんのような放射線の技術者が放射線を扱う仕事をするとき、放射線管理区域というところに入るのだそうです。そこは、特殊な人が特殊な仕事をするときだけに入っていい場所です。
 そこに入ったら最後、水は飲んではいけないし、ものを食べてもいけないし、そこで寝てもいけないし、普通の人は入ってもいけないし、ましてや子どもは絶対に連れて入ってはいけない、と。
 放射線の管理区域から外に出るときは、必ず出口で検査を受け、服や皮膚などが放射能で汚染されていたら落として外に出なければならないそうです。
 放射線管理区域から出られる基準、それは1平方メートル当たり4万ベクレル。それを超えていたら外には出られず、もし出てしまったら犯罪者として処罰される、それが日本の法律。

 ところで、ここで先生が見せてくれた資料映像の一枚。
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 東日本の地図です。青いところは6〜10万ベクレル、くすんだ緑(青の周り)のところも3万〜6万ベクレル、だそうです。その多くは普通に人が住んでいるところですね。

 「日本が自分が決めた法律を守ろうとするならば、福島県の東半分、宮城県の南部と北部の一部、茨城県の北部と南部の一部、栃木県の北半分、群馬県の北半分、千葉県の北部一部、埼玉・東京の一部、というところを放射線の管理区域にしなければいけない。住んではいけないし、ましてや子どもを入れてはいけない。」

 年間1ミリシーベルト以上の被曝をしてはいけないという法律がありました。それがいまでは年間20ミリシーベルトまでOK。

 それまでの法律は何だったのでしょう?

 こうなった以上、どうするべきか。
 小出さんは、それぞれの責任に応じて責任を取るべき、と言います。
 当然原発を積極的に推進してきた政府、国会議員、電力会社などにはそれ相応の責任を果たしてもらう。そして、私たちの世代がこれだけ原子力を許してきた責任があるのだから、子どもたちを守るべく、大人たちが汚染した食品を引き受け、子どもには出来る限りきれいな食べ物を与えるようにする。本当は誰も汚染された食品を食べてはいけないのだが大人たちが責任をきちっと果たすべき、という提案をされました。

 そして質問の時間に出た、気になる4号機の話。
 広島原爆5000発分が使用済み燃料プールで冷やされており、原子炉建屋が壊れてプールが中吊りになっている状態だそうです。大きな地震でプールの水が抜けて使用済み燃料が空気中に露出するとなにがしかが吹き出す可能性があるとか。もちろんすべて吹き出す可能性もある、そしたら今回の事故の10倍の放射能が飛散する。
 そうなったらもう、風向きが自分のところに向かないように祈るしかないのです、とおっしゃってました。
 4号機については海外のほうがかなり騒いでいるようですが、やっぱりそうですか。


 さて。
 お二人とも共通しているのは、「とにかく子どもたちを守れ」ということ、ですね。
 政府から、したり顔でテレビで解説する学者から、このような言葉を聞いたことがあるでしょうか(といいつつ、私はテレビを見ないのでネット情報による推測ですが)。

 皆さんも機会があったら、(ネットでは有名人ですが)政府やほとんどのマスコミからも無視されつづけたこのお二人の、核心をついたお話を聞いてみてください。

 私が読んだ本
 小出さん 「放射能汚染の現実を超えて」「原発のウソ
 肥田さん 「内部被曝の脅威

2012-8-5

カテゴリー:原発気になる人たち

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