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医師・村上智彦の闘い 夕張希望のまちづくりへ

川本 敏郎 時事通信出版局

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 財政破綻した北海道夕張市にやって来た一人の医師、それを待ち受けていた理不尽の数々。

 この本では、都会に居ては見えてこない、地域医療の問題点が映し出されます。
 それは、緊急でもないのに救急車を呼ぶ、必要も無い薬をねだる、検査を要求する・・・医師に甘える住民たち。医者にかかるという「行為」で安心を得ることに疑問を持たない。数少ない医師や看護師はそれに応えるために身を削り、疲れ果て、やがて辞めてしまう。

 都会の病院においても同様の傾向は見られるのでしょうが、過疎地域における影響の大きさは都会の比ではないようです。もし存続不能でその地域の病院や診療所をたたむことになると、過疎地域では自動車で何十分もかけて町内の離れた地域または隣町の医療機関まで行かなくてはならない。まさに死活問題です。
 ただ、これは住民だけの責任とはいえない、国の施策にも問題があるわけです。いかに病人を出さないか、ではなく、病人をいかに手当てするか、の方に力が入っている。それでは医者がいくらいても足りない。


 村上氏は、地域医療存続のために、住民たちに協力を要請します。やたらと救急車を呼ぶない、薬をねだらない、医師が仕事を続けられるように考えなさい、と。それを、自分たちの立場だけでなく、住民の立場に立って説明するのです。医療だけでなく、いかに地域コミュニティを大事にするかということを含めて考え、行動し、次第に住民の信頼を得ます。
 また、夕張の場合は、行政にも問題があった。「財政破綻」という言葉を盾に、医療の補助金を医療にまわさなかったり、規則や条例を最優先にして本当に必要なことに力を入れない、思考停止状態。

 この問題は日本の縮図に見えます。形違えど大なり小なり他の様々なことにも当てはまる。行政に頼り甘える住民、政府に頼り甘える企業、学校の先生に頼り甘える親、店員に頼り甘える客、その他いろいろ・・・






2011-6-28

カテゴリー:医療と健康まちづくり・コミュニティ

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