原発のウソ
小出裕章 扶桑社
原発事故以降、何かと話題の京大の先生です。この本では原発についての様々なウソをあばいてくれます。
少しくらいの放射能なら大丈夫というウソ、原子力による発電は安いというウソ、原発はCO2排出しないというウソ、何よりも原発は安全というウソ・・・それらは周到に、かつ巨大な利権の力で封じ込められてきましたが、福島第一原発の爆発により多くが世間の目に触れることになってしまった格好です。
一番気になる、放射線の人体への影響については、アメリカの「放射線の影響を検討する委員会」により2005年に「被曝のリスクは低線量にいたるまで直線的に存在し続け、しきい値はない。」と結論づけたそうです。つまり、被曝量に、ここまでなら安全という範囲が無いということです。
それなのに、少量の被曝であれば安全と吹聴する政府って誰のために存在するんでしょ?
その昔、確かにエネルギーに乏しい日本にとって、原子力は光り輝く未来への画期的な道具だったかもしれない。しかし、この本に挙げられているような原子力の問題点、あまりにも大きなリスク、制御の難しさ、そして私たちが私たちの利便のために生みだしてしまった核のゴミをこの先我々の子孫が管理し続けなければいけないという理不尽・・・これらはこれまで私たちが生みだしたどの技術とも比較できないくらい取り扱い困難で、原子力に抱いていた思いが幻想であると分かったはずです。
そんな今、積み上げてきた技術も放棄するという勇気も必要でしょう。
2011-8-9
カテゴリー:原爆・原発・原子力/日本の社会問題
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