農と自然の復興
宇根豊 創森社
田んぼからは昆虫たちも消え、百姓は効率を追い求めて田んぼや畑の命たちには目もくれず、先祖代々で培われてきた様々な知恵は農学という学問の広がりとともに隅に追いやられ・・・
「農と自然の研究所」というNPOを立ち上げ、著者いわく「百姓仕事が生み出してきた、カネにならないものを、掘り起こし、表現し、評価するしくみを打ち立ててきた」この10年の活動の集大成。
田んぼに棲んでいる生物たちを皆で観察し、その小さな自然の見えない価値を認識し、それを維持する方法を考えてゆきます。
それは小さな田んぼだけではなく、私たちが生きている地域、地球をも、そして、私たち自身の生き方を考えることにもつながるんですね。
資本主義社会へひた走ってしまった日本からこぼれ落ちたもの。
それは、お金の価値では計算しようもない自然の豊かさへの、暖かい眼差し。
それを再び取り戻すことで私たちも社会も変わってゆくことができるのかもしれません。
2011-8-30
カテゴリー:食と農/まちづくり・コミュニティ