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#71

時刻表タイムトラベル

所澤 秀樹 筑摩書房 (2011)

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 これまで発行された時刻表をもとに、過去の国鉄を中心とした鉄道事情を読み解きます。

 テーマは「列車編成」「食堂車」「戦前の鉄道」「多層建て列車と夜汽車」、そして著者が挑んだ、南宮崎から稚内までを夜汽車で辿る旅のルポからなります。
 ざっと読んでみると、その時代時代の需要に合わせて仕掛けてきた日本の鉄道のいろいろなサービスの変遷が読み取れて面白かったです。

 今ではJRの急行列車は全国で数本しか走っていませんが、その昔、長距離移動の足といえば「急行列車」で、大きなターミナル駅からは頻繁に発車するくらいの大所帯、あちらこちらで夜通し走る急行列車も多かったんですね。

 しかも、それらの急行列車は行き先に合わせて、途中で分割・併合を繰り返し、いかに効率よく大量の客を捌くかを極めた、まるでパズルのような業。この複雑さは日本人ならではの職人芸といっていいでしょう。

 今はほぼ廃れてしまった食堂車についても、昔は特急ばかりでなく一部の急行列車にも連結されており、その内容や車両の位置に至るまで、試行錯誤の連続だったんですね。

 宮崎から北海道まで日本を夜汽車で縦断するルポもとても興味深いものでしたが、写真が付いていたらもっとよかったと思います。

 他にもいろいろなネタがあり、古い時刻表があれば、それを片手に読んでみるのも面白いかもしれません。

 長距離移動の足として普及していた夜行列車もバスや飛行機の普及とともに消えゆき、私が子どもの頃大人気だった青い車体の寝台特急「ブルートレイン」も、つい先頃、大阪-青森の「日本海」の廃止が発表され、残りは上野-札幌の「北斗星」、上野-青森の「あけぼの」のみ。
 この2本、車体はかなり古いのですが、車両更新のコストを考えると、更新せずに2本ともいずれ廃止されるのではないかと私は思ってます。蛇足ですが。

これも時代の、流れ。


2011-11-29

カテゴリー:交通

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