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#72

無限の網 草間彌生自伝

草間 彌生 作品社 (2003)

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 わたくし、草間のことはあまり知らず、水玉模様のヘンなオブジェを造る変わったオバチャンというイメージしかありませんでした。
 しかし、先日、ワタリウム美術館で開催された「草間彌生展 Kusama's Body Festival in '60s」に行ってきまして、若い頃はこんなことしてたのかー、と軽いショックを受けました。かなり攻めの芸術活動をしていたようですね。

 ということで、この企画展でも一部引用されていた自伝を読んでみました。
 作品の図版や写真などはほとんどありませんでしたが、彼女の思いがぎゅと詰まった本でした。

 生まれ故郷の長野を飛び出し、単身ニューヨークに渡り、ゼロから出発した芸術活動。ボディペインティングで米国に旋風を巻き起こし、様々な有名芸術科とも交流をして精力的に芸術活動に励んだ彼女。しかし世界で有名になっても久々に帰国した日本では下手物扱いされて受け入れられず、失望のまま日本を背にします。そして時が過ぎ、たまたま健康を害して帰国した際に、故郷の自然や人々に癒され、その後日本で活動をすることになります。

 ワタリウムでは現在の草間さんのビデオ作品もあり、真っ赤なかつらをかぶって自作の歌を歌ったり胸元にいっぱい花を挿したり不思議なことをしていて面白いオバチャンという感じでしたが、若い頃の彼女はスレンダーで目つきもするどく、戦う芸術家といった感じでした。

 フリーセックスを標榜するなどセンセーショナルな表現を行ってきた彼女ですが、世の中の芸術がもっと育ってほしいという思いを強く感じました。芸術に対してとても真面目な人なんですね、彼女に対する味方が変わりました。


2011-12-2

カテゴリー:芸術論偉人伝・自伝

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