#248
証言と遺言
福島 菊次郎 デイズジャパン
92歳にして現役のフォトジャーナリスト、菊次郎さん。
菊次郎さんがこれまで撮った写真のうち、そのエッセンスともいうべき写真をセレクト。
原爆投下後の広島、安保闘争、あさま山荘事件、成田空港建設の三里塚。
日本を大きく揺るがした出来事を撮っていますが、圧倒的迫力を感じ、自分もそこに居合わせたかのような錯覚に陥ります。それほど被写体に近い。
まさに歴史の生き証人ですね。
日本人は、戦後も政府と戦ってきたのだなあ、と一連の写真を見ると改めて感じます。そしてそれは今も続いている。
そして未だご健在の菊次郎さんによる、それぞれの写真のコメントが添えられると、それらの写真がとても「過去」とは思えず、むしろ「ちょっと古い現在」に過ぎないのだと感じます。
私個人的には、表紙にも写真がありますが、原爆の後遺症で苦しむ中村さんの写真が強烈な印象。そして、菊次郎さんが親しくなったからこそ撮れた写真。
その他の写真をも眺めながら今の日本の状況を思い返すにつれ、これからの日本はまた同じようなことをくりかえすのだろうとやるせなささえ感じます。
2013-5-18
カテゴリー:写真集/日本の社会問題