#270
大河紀行 荒川 秩父山地から東京湾まで
伊佐 九三四郎 白山書房
荒川というのは私が子どもの頃から近くにあった川で、今住んでいる市の境界にも流れてますが、その大部分が埼玉県内を流れるので、埼玉県民にとって馴染み深い川でしょう。
その荒川を、源流から東京湾に注ぐ河口までの173kmを辿った、まさに旅。私も見に行ったことがありますが、伊佐さんもしっかり甲武信ヶ岳頂上付近にある源流を見に行き、スタートしてます。
それにしても、本当に面白い。上流は秩父付近になるのですが、寂れゆきつつも狼信仰の三峰神社に見られるような独特な文化を山村集落や神社仏閣などが点在するこのあたりに今だ色濃く残っていますし、中流から下流にかけてはそのような文化の影はすっかり薄くなりつつも、名のとおりの暴れん坊の川をなんとか収めるために川を付け替えたり堤防で固めたりといった川との戦いの歴史が、大地に刻み込まれていると同時に、かつては重要な交通路として機能していたのです。
それにしても、伊佐さん、本当によく調べてます。
あまり見栄えのしない中〜下流の沿岸でも、例えば旧陸軍の桶川飛行学校跡とか、かつて河岸場があったとか、桜草が河岸の広い範囲で自生していたとか、とても面白いネタが豊富にあるんですね。
さすがに伊佐さんのように源流から河口まではムリですが、行ってみたいと思うようなところがいくつかありました。
2013-8-9
カテゴリー:旅と山歩き/日本の文化と歴史