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#364

暴露 スノーデンが私に託したファイル

グレン・グリーンウォルド 田口 俊樹 濱野 大道 武藤 陽生 新潮社 (2014)

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 スノーデン氏が暴露した、米国家安全保障局(NSA)が大量の個人情報を収集していたというニュース。
 このニュースを知った時、本当に仰天しました。それは、アメリカの政府機関が「大量の個人情報を収集していた」という事実ではなく、そのことがこんなにもあっけなく暴露されてしまった、という事実に対して。

 NSAの情報収集活動に関わっていたスノーデン氏が、情報のアメリカ国内での公開をグレンさんに依頼し、グレンさんは公開しました。
 そのグレンさんが、スノーデン氏と接触した時の様子や彼から受け取った機密情報のファイルの内容、そして情報を公開したときのアメリカ国内の反応などについてを綴っています。

 アメリカでは9.11テロをきっかけに愛国者法が成立、テロ防止のために個人情報の収集にお墨付きが与えられることになりましたが、それはテロに関与すると疑われる特定の人物に対してではなく、アメリカ国内の一般人に対して実に膨大な量の個人情報収集が行われていたようです。
 しかもメールやSNS、検索サイトなどインターネット上の情報はいとも簡単に情報収集されるらしく、私たちが日常的に使われる多くの米国産サイトは(どのサイトが挙っているかはぜひ本を読んでみてください。え、これも?と思うはず)「NSAと秘密協定を結び、ユーザーの通信データへのアクセスを提供していた」(p122)といいます。

 その他、この情報暴露問題についてアメリカのジャーナリズムがスノーデン氏を非難・中傷する態度をとり政府にすり寄ったこと、NSAが行っている個人情報の収集がテロ対策として効果がないということにも言及してますし、政府の不正をあぶりだそうとする動きを防止し監視することが実は主な目的であろう愛国者法がうまく働いている様子がはっきりとうかがえます。

 スノーデン氏が盗聴などを避けながらわざわざ香港でグレンさんに接触する様子はまるでスパイ小説のようでしたが、暴露された機密情報の数々から、インターネットやメールというのは情報を知らないうちに別のところで収集されることを防止できないと承知の上で使わなければいけないものだと改めて思いました。
 最近特定秘密保護法を施行した日本はまさにこのアメリカと同じ道をたどってゆくのでしょう。

 それにしてもスノーデンさん、すごいことをやってくれましたね。彼のその後の人生が心配になってしまいます。

2015-3-17

カテゴリー:世界の社会事情と外交世界の社会問題

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