#70
「正義」を叫ぶ者こそ疑え
宮崎 学 ダイヤモンド社 (2002)
「正義」について、子どもの頃に何かを教わったかどうかは覚えてませんが、戦隊ヒーローものの子ども向けテレビ番組は健在のようですから現代でも知らぬ間に「正義」という概念は植えつけられているのだと思います。そこで学ぶのは「正義」というものは「良い」ものであるということです。
この本で取り上げられている「正義」の例は、「正義」のもとに他国に戦争をふっかけるアメリカ、自民党をぶっ壊すと宣言した小泉政権、異物を排除するようになった日本社会、そして効率を追い求めた企業、国を良くしたいと言いながら利権を手放したくない政治家、そしてそれぞれの理念を掲げて主張する宗教・・・考えてみたらこの世の中は、様々な「正義」で動いていたんですね。
「正義」を掲げる当人たちにとっては「良いこと」でも、一方ではその「正義」のために酷い犠牲を強いられる人たちもいる。全てがそうだと限りませんし、簡単に判断しようもありませんが、「正義」だからと無条件に受け入れるのではなく、それによってどんな影響があるのかを今一度考えてみる必要がありますね。でもこの本を読むと、「正義」を叫ぶ者こそ疑えとは、実に分かりやすい警告と言えます。
一方で、正義について最近話題になった本としては、ハーバード大のマイケル・サンデル氏の「 これからの「正義」の話をしよう 」という本がありますが、ある一つのテーマに対して「正義」は答えが一つではないことを示してくれました(本はちょっと難解で、NHKでやっていたハーバード白熱教室のほうが分かりやすかったですよ、再放送するかな?)。
インターネットでいろいろな世界に触れられるようになった今、「正義」という概念そのものが時代に合わなくなってきているのかもしれません。
2011-11-25
カテゴリー:日本の社会問題
*** TOP
***ツブヤキ
記事一覧(2016年3月11日まで)
(⇒それ以降はこちら)
▶カテゴリー
つぶやき/こどもとともに/原発/ライフスタイル/旅と山歩き/芸術のあたり/フィルム/気になる人たち/宮崎へようこそ/平和を 安心を 自由を
*** 読書の時間
記事一覧(2016年3月11日まで)
(⇒それ以降はこちら)
▶カテゴリー
宗教・信仰/思想・哲学・心理/生き方/偉人伝・自伝/世界の社会問題/世界の社会事情と外交/政治と行政/福祉/日本の社会問題/世界の文化と歴史/日本の文化と歴史/建築・造園/まちづくり・コミュニティ/経済・ビジネス/自然科学/医療と健康/地球の環境と資源/自然環境と災害/科学技術/原爆・原発・原子力/食と農/暮らしと子育て/交通/伝統技術/芸術論/画集・作品集/写真集/旅と山歩き/詩集/小説/評論・エッセイ・ルポ/子どもの本
▶おすすめの本