#81
沖縄と米軍基地
前泊 博盛 角川書店 (2011)
前泊さんは何年か前に米軍ヘリが墜落して大騒ぎになった沖縄国際大学の先生だそうで、実際に現地で生活する学者から見た沖縄について論じてくれます。
沖縄が米軍に占領されてからの基地にからむ歴史が時系列に語られていたのが分かりやすくてよかったです。米軍問題がらみで、ちょっとしたこと(本土から見るとそんなふうに見えること)でなぜあれだけ沖縄の人たちが怒るのか、それは、戦後半世紀以上も、日本とアメリカの「踏み台」にされたからなのでしょう。つまり、例えて言うなら火山に徐々にマグマが溜まって、ちょっとしたことで噴火しそうなのが今の状態なのだと思いました。
元知事の大田昌秀さんは「 こんな沖縄に誰がした 」という本で、第二次大戦よりも遥か昔の、江戸時代からすでに沖縄(琉球)が日本に踏みにじられていたことを語ってくれましたが、それだけ沖縄の人たちは日本本土に対してある意味特別な感情を持っているのだと思います。
ところで、つまるところ、この普天間も含めた沖縄問題というのは、安全保障というよりも、アメリカと日本の双方のおねだりの駆け引きで沖縄が翻弄されているというのが、本当のところのようです。
それは大田さんの本でも、伊波 洋一さんの「 普天間基地はあなたの隣にある。だから一緒になくしたい。 」という本でも語られていましたが、つまるところ、アメリカは沖縄の米軍駐留により日本から支払われるカネが欲しい、日本は米軍が沖縄にいるということで安心感が欲しい、というところで動いているようですね。そもそも安全保障のために米軍が沖縄にいる必要は無い、というのが今のアメリカの見解だそうです。
まあびっくりしたのが、米軍兵士による、沖縄における犯罪がとても多いこと。72年の返還から10年までの39年間で5705件だそうで、本土にニュースで伝わってくるのは氷山の一角に過ぎないってことが分かりました。しかも地位協定があるから日本国内で裁かれない。そりゃ沖縄の人は怒りますよね。
2011-12-16
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