#109
スモール イズ ビューティフル
F・アーンスト・シューマッハー 講談社
1970年代始めに発表された名著。
と言いつつも、恥ずかしながら私がこの本を知ったのはごく最近ですが、先進国各国が経済発展のまっただ中におり、さらなる発展を目指していた当時において、この本は衝撃だったようです。
シューマッハーさんは、世界の大企業がさらに巨大化し、科学技術も日々加速的に発展、資源の消費量が驚くほど膨大になり、農産物までもが化学肥料や大型機械化する世界に対して、その世界の行く末に対して警鐘を鳴らしましたが、彼の予想通り石油危機が起きたのでした。
彼が提言したもの、それは、行き過ぎず戻りすぎない、真ん中の道、と言っていいでしょう。
スピードをあげて進むのではなく、昔に戻るわけでもない。巨大化するのではなく、縮小するのでもない。ちょうどよい大きさ、ちょうどよいスピード。
「人間が人間らしく生きる人間のための社会」を目指していたのです。このような提言があの時代になされていたことに驚きます。なぜなら、こんな警告に関知することなく世界は進んでしまい、現実彼が危惧世の中に向かっている現代において、ようやく彼の提言に目を向け、そんな世の中を目指していこうという流れが少しづつ形となりつつあるように思えるからです。
一部の人が多く持つ不安定な社会から、多くの人がちょうどよく持つ安定した社会に変わっていくことはできるでしょうか?
2012-3-2
カテゴリー:地球の環境と資源
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