#114
鷹匠の技とこころ 鷹狩文化と諏訪流放鷹術
大塚 紀子 白水社
面白い本を読みました。
私、ずっと、鷹匠とは鷹狩りをする人と思っていましたが、全く違いました。
鷹狩りというのは、天皇や将軍が鷹を使って動物の獲物を獲ることですが、その鷹を調教する人、それが鷹匠です。
鷹の持ち主、つまり鷹主は天皇や将軍ですが、鷹匠が天皇や将軍の命令に従って狩りをするように鷹匠が調教している訳です。
鷹匠ってどんな人?という、本当に素朴な疑問で読み始めた本ですが、どんな技があるのか、どんな道具を使っているか、そして鷹の調教の注意点など、実に細かいところまで書いてあり、鷹匠の入門書と言ってもいいのではないか、と思うくらい細かいことまで紹介しているのです。
ちろんこの本を読んだだけで鷹と道具を入手すれば鷹匠になれるわけではなく、著者の大塚さんでさえ、「鷹狩は、知りたいと思うほど、いかに知らないことが多いかを思い知らされるほど、奥が深い文化である。」と言わしめるほどです。
鷹匠と鷹の関係は、言ってみればコーチとアスリートの関係のように思えました。
鷹匠を信頼し、鷹が狩りに専念できるよう、鷹匠はあらゆる気遣いをします。それは、「調教とは「鷹と意思の疎通をはかるための手段」であり、「鷹の良い体調を管理するための方法」である。」という言葉からも分かります。
最後の「鷹匠の心掛け」という章は必読でしょう。
7つほど、諏訪流鷹匠が心がけている思いを紹介してますが、特に目を引いたのが「鷹を主人と思ってつかえよ」という項目。「鷹匠がお預かりしている鷹は、鷹主である君主そのものであると思って敬うこころ」を指すそうです。つまり、鷹は鷹匠より上なのですよ。目から鱗が落ちる思いがしました。
鷹匠に興味のある方、その精神に学びたい方はぜひ。
2012-3-10
カテゴリー:伝統技術/日本の文化と歴史
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