#115
サラリーマン3.0
伊関 淳 中経出版
昔はこの手の「仕事の仕方」の本や、いわゆる「成功本」をむさぼるように読んだ時期がありました。
この手の本の弱点は、「読むと自分が変わった気になる」ことでしょう。実際、本の内容のことを実行しなければその通りになるはずもないのですが、しかしそれでも、この手の本を大量に読むと皆似たようなことが書いてあるのでいつの間にか意識に刷り込まれる、という効果はあります。
この本の特徴は、終身雇用が崩れた今の社会において勤める会社に左右されず自分という「会社」を作り、いかに自分ブランドを確立するかというイマドキの生き方を指南していること、「独立」という高いハードルの少し手前のレベルまで引き上げることを、サラリーマンをやりながら実現する、ということでしょう。
伊関さんはそれをサラリーマン3.0と表現し、会社や組織と一体化して戦う伝統的サラリーマン=サラリーマン1.0や個人主義・成果主義・新自由主義を掲げる効率的・意欲的サラリーマン=サラリーマン2.0に対し、ネットワークを介して次々と人とつながり、イノベーションを巻き起こす高性能サラリーマンという「新しいサラリーマン」として位置づけ、提案しています。
本の内容としては、わりと当たり前のこと(例えば約束の時間に遅れない、など)が半分以上の印象ですが、たとえばSNSの利用や、「努力が評価されるのは期待しない」など今の時代の生き方に適応させたような内容もあります。
伊関さんは「サラリーマン4.0は無い、3.0の上は起業の思考だ、と言っており、これまでのサラリーマンより起業家に近い思考・行動を身につけることにターゲットを絞り、そのためのノウハウを集めた、と言っていいと思います。
面白い本でした。
2012-3-12
カテゴリー:生き方/経済・ビジネス
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