#124
「つなみ」の子どもたち
森 健 文藝春秋 (2011)
この本は、読んでいくほどに、本当に涙が出そうになる本でした。
昨年の東日本大震災で、津波の被害にあった子供たちが、その思いをつづった作文と、その家族の今と過去をたどったルポタージュ。
子供たちが書いた作文は、文章の長さも短いし、どこかたどたどしい。
なのに、その思いの濃密さ、そして文章の最後に未来への希望を感じ、余分なものを削ぎ落した文章に見えるのです。
そしてそれを補足するように森さんが、子供たちの親や保護者に期間を置いて何回か会ってその状況を聞き出し、時間を経て変化する状況やいろいろな気持ちをまとめてゆきますが、揺れ動く気持ちや子供たちの行動の変化に、普段あまり目にすることの無い人間の本質があらわになった感じがして、共感を覚えるのです。
そういう状況を知った上で再び子どもたちの作文を読み返してみると、また違って子供たちが見えるのです。ああ、子供たちなりに、どう表現していいか分からないなりに気持ちを整理しながら書いていったのではなかろうか、と。
でも、子供たちは大人たちと違った感性を持っている。被災地においても、子供たちのおかげで大人たちが本当に救われているのだなあ、と。
ありきたりの表現ですが、子供たちは本当に宝だと思いました。
本当にこの本を読んでよかったと思いました。
2012-3-31
カテゴリー:自然環境と災害/暮らしと子育て
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