#146
ウォーター・ウォーズ 水の私有化、汚染、そして利益をめぐって
ヴァンダナ シヴァ 緑風出版
水は人間が生きていくのに重要な、言わば命綱と言ってもいいでしょう。
先日も、公共水道を民営化すると言った某市長がおりますが、それがいかに無謀なことか、この本を読めば分かります。
日本ではこの「水戦争」という言葉、あまり馴染みがありませんが、諸外国では水の取り合いが深刻な問題となっているようです。
水は飲み水としての利用の他に、農業や工業などの産業で使用されます。そして産業で使用される水の量が圧倒的に多いわけです。
農業の大規模化、工業の進出に伴い、水はこれらの産業に優先的にまわされます。
あるいは、さきほどの水道の民営化の話。コストダウンのために水道を民営化したはずなのに、水道料が数倍に跳ね上がったという事例はいくつもあるそうです。
そして、大陸を流れる川は何カ国も巡って流れていくことが多いのですが、ある国で水を少しでも多く使おうとダムを造る。ダムの周辺住民は否応無く立ち退かされ、下流の国は水の取水がますます減少し、そこでも国同士の争いが起きます。
川や湖の水は干上がって住民たちはさらに遠くまで水を汲みにいかなくてはならくなったり、水の代わりにコーラを飲んでいるような地域もあったり。
今の日本ではあまり実感が湧きませんが、実は日本はそのような問題に加担している可能性があります。農産物や畜産物を大量に輸入しており、そのために日本は世界一の水輸入国と言われています。その他にも格安の生活雑貨や衣類、電化製品をも大量に輸入していますが、その生産にも大量の水を使用しています。
だからといって輸入を止めれば問題が解決するというわけではありませんが、安く購入できる影でそのような問題も存在するのだということを知る必要はあると思うのです。
2012-6-4
カテゴリー:地球の環境と資源/世界の社会問題
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