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#152

アダンの画帖 田中一村伝

南日本新聞社編 小学館


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 私のお友達がfacebookで紹介していて、「私も持ってますよー」とコメントしたら当ブログで「ぜひ書評を!」ということでしたので、読もうと思ってたまっていた本もここのところだいぶ読み終えたことですし、久しぶりに引っ張りだして読んでみました。

 田中一村さんは私が特に好きな画家のうちの一人です。

 栃木に生まれ、東京で育ち、その後千葉で絵を描いて生活し、晩年は奄美に移り住んで主に奄美の自然を描いています。
 まあ何と言うか、「絵画バカ」とでも言いたくなるような人です。妥協はしない、カネのために絵は描かない、ということで、絵を描くために畑仕事をし、あるいは外に働きに出て暮らすのですが、そんな一村さんをほっとけない人たちが周りには多くいて、いろいろ世話をしたりするものですからそのお礼としてちょっとした絵を贈る、ということはあっても、不純(?)な動機のために絵を描かない精神を貫き通します。

 さすがに最晩年はジリ貧になり、生活に困って今まで描いた絵を売ったりしたようですが、カネのためには描かないということは守られたわけです。

 絵画界の同期にあの巨匠・東山魁夷さんがおり、一村さんもライバル視していたそうですけが、言わば日本画のエリートコースを歩んだような東山さんに対し、一村さんは亡くなる直前まで奄美の住民から「絵もかける紬職人」くらいに思われ、生前は個展を一度も開けなかったそうで、そんな世渡り下手な一村さんが好きですね。

 でもそんなぎりぎりの生活をしつつも好きな絵を描ききったのですから幸せな人生だったのだろうなあと思うのです。

 ちなみに、一村さんの画集もお勧め( 田中一村作品集 日本放送出版協会 )。私が一村さんを知ったのは、ふらっと入った本屋にこの本がたまたま置いてあって、この表紙の絵が気になったからでした。

 ちなみに奄美に「 田中一村記念美術館」というのがあり、多くの作品はそこで見ることができるようですが、2010年に千葉市美術館で田村一村の企画展があって、迷わず行ったのでした!閉館前でちょっと時間が短く、観るのもやや駆け足でしたけど、良かった!

2012-6-12

カテゴリー:芸術論偉人伝・自伝
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