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#153

緑の革命とその暴力

ヴァンダナ シヴァ 日本経済評論社


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 ヴァンダナ・シヴァさんの本、以前、「ウォーター・ウォーズ」という本を取り上げましたが、実はこちらの本を読んだのが先で、5年ほど前に一度読みました。
 「緑の革命」という名前で、欧米主導で世界の食料生産量のアップを目指そうとする運動がありました。
 この本ではインドの例を取り上げていますが、確かに種メーカーの提供する植物の種により農作物の生産量が上がりましたが、しかしそれは最初だけした。
 生産量を上げるためにいびつに改良された植物は、過大な肥料と水を要求し、そのためのコストがふくれあがります。しかも大量の化学肥料の投入により畑は荒れ、さらに肥料の量を増やさなければならないことに。

 このことにより今までバランスよく多品種の農作物を育て慎ましやかに暮らしてきた農民たちは借金を重ね、自殺する人も増えたのだそうです。

 「農作物増産のため」ときれいごとをならべ「緑の革命」と謳ったその運動は、当然といえば当然ですが、結局先進国のメーカーの販売拡大のためだったわけです。その波が途上国にも押し寄せ、ささやかな農民たちの財産をむしり取り、暴力となって打撃を与えたのです。
 経済力にモノを言わせて自分たちの商品を押し付ける先進国企業の横暴さを、人間の命の糧である「食料」にまで持ち込むという危うさ。

 そして今日本でも、モンサント社を始めとする遺伝子組み換え作物が、震災の影響や政治の一体改革とやらのどさくさにまぎれて農水省によりどんどん認可されています。
 自分たちが食べるものは自分たちの手で守る時代に来ているのではないか?そんなふうに考えさせられる本です。

2012-6-18

カテゴリー:食と農世界の社会問題科学技術

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