#156
日本の庭園 造景の技術とこころ
進士 五十八 中央公論新社
先日、進士先生の日本庭園の講座を受講しましたらテキストとして配られましたので、何だか商売上手だねーと思いながらも読んでみました。
日本庭園を紹介する本というのは、往々にしてその歴史的・宗教的背景からそれぞれの庭園がつくられた時代ごとの形式やその形の意味などに焦点が当てられがちです。
それゆえ、日本庭園を眺める際にも、例えば「この石はこういう意味があります」などという解説を聴いて「ほほー」と言いながら楽しむことが多いものです。
この本では、そういった造園史的な見方ではなく、「景観」という造園設計・技術的な見方で日本庭園を解説してくれます。
ところで、この本のタイトル、「日本庭園」ではなく「日本の庭園」ですね。そうです、日本庭園というカテゴリーではなく、日本にある優れた庭園を紹介しよう、という本なのです。
もちろん、古い日本庭園の形は歴史的・宗教的な背景により意味付けられた要素が強いですから、前半は日本の庭園の歴史や技術について、大正・昭和に至るまで簡単に説明するとともに、その庭々に込められる「見せ方」について説明してくれます。
そして後半は「日本の名園三十六景」というタイトルで、進士先生のお勧め庭園を36ヶ所紹介してくれます。これがなかなかいいチョイス。
定番の日本三名園(偕楽園・兼六園・後楽園)を始めとして毛越寺庭園・浜離宮庭園あたりはまあ普通のガイドブックに載るくらい有名ですが、私の最近の好みの向島百花園や四名園の三名園プラス1としても挙げられる栗林公園(某センセーがオレが三名園選ぶとしたらは兼六園と後楽園と栗林公園だーと言ってました)、さらには京王プラザホテル外空間、はたまた先日亡くなった芸術家荒川修作さんの作品・養老天命反転地まで、「貴重さ」ではなく「景観的素晴らしさ・面白さ(進士先生的に見た)」からの選択は面白いと思います。
私はこの36ヶ所のうち、11ヶ所行ってました。この本で紹介されている他の庭園にも色々行ってみたいですね。
2012-6-25
カテゴリー:建築・造園/伝統技術
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