#169
植物からの警告
湯浅 浩史 筑摩書房
私個人として、たまたまではありますが、最近読んだ「文明崩壊」とリンクするものを感じて興味深く感じました。
植物の変化、それは人間の活動や気候の変動などと深い関わりがありました。この本では、世界中で見られる植物の変化のうち、いくつかの事例を取り上げています。
例えばお馴染みのモウソウチク。
実は日本に来て三百年くらいなのだそうですね。それが樹林に取って代わって日本各地にはびこり、土砂崩れの危険性を孕んでいるそうです。
あるいはマダガスカルのバオバブは、周辺の環境の水田化や、そのバオバブの建材等としての利用の際に木の生長を無視した材の採取の増加で成長するものが減って、次世代への存続が危ぶまれ、あるいは切っても焼けても再生する強いはずのオーストラリアのユーカリが、周辺の畑地としての利用で枯れてしまう、など。
それらの植物の植生の変化によって、将来の人類がどのような影響を被るかまでは具体的には言及していませんが、これを契機として何らかの対策を立てるべきであって、何もしなければ大局的にみて「文明崩壊」の内容のような状況が待ち受けているのかもしれません。
自ら環境に合わせて動くことができない植物の変化であるからこそ、その変化に着目することが実はとても重要なことであることがこの本で分かるのです。
2012-9-17
カテゴリー:自然科学/地球の環境と資源
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