#174
ぼくはお金を使わずに生きることにした
マーク・ボイル 紀伊國屋書店
一時期、困窮というレベルではなくて、好きなことにお金を費やすために他にお金を回す余裕が無い若者や、人里離れた地で自給自足の仙人のような生活をしている人など、あえて貧乏生活をしている人の生活を取り上げるテレビ番組が流行ったことがありました(今はどうでしょうか、分かりませんが)。
アイルランドのボイルさんも一見そんな方たちとさほど変わらないような暮らしを実践してみますが、この生活を始めるきっかけとして、増々加熱する消費経済やそれに伴う環境破壊に対する疑問があるようです。
生活そのものは文字通り「お金を使わない」ので、毎日の生活の中でそれなりの、お金を使わない工夫をします。
食料は栽培あるいはお店の余り物をもらう、キノコで紙とインクを作ったり、住処となる家(トレーラーハウス)や交通手段となる自転車は人からもらったり。
お金を使わないこと意外は、普通の暮らしをすることを目指します。友達に会い、クリスマスを祝い、実家に帰って過ごし、恋人を作ろうとする。
どちらかというと自給自足というよりホームレスの生活に近いような気がしますが、無いものを調達するために様々な人に声を掛けるなど、その方法は前向きであり、外に向かっています。
この生活も一年で一区切りし、この間得られたさまざな体験を元に次のステップである「お金を使わない」コミュニティの実現に向けた取り組みに力を入れはじめたようです。
何気ない貧乏体験のように見えますが、その次のステップへの種をつくり、収穫したのですね。
完全に今の文明を否定は出来ないけれども、優先とすべきをお金ではなく生活にシフトし、今の便利さをある程度保ちつつ人間らしい生活に軟着陸できる別の方法がありそうだ、これを読んでそんな風に思いました。
2012-9-29
カテゴリー:生き方
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