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#252
樹海の民 舟・熊・鮭と生存のミニマム
赤羽 正春 法政大学出版局
「ミニマム」とは最小限という意味だそうです。
ロシア・シベリアの東側、アムール川沿いに今も息づく文化。
交通手段として丸木舟や板を鎧張りした舟を操る。
鮭や熊を捕って食とする。それも、最小限。
そして、鮭も熊も、肉から骨から皮に到るまで無駄にすることなく使う。それは食べるだけではなくて日用品としても。
熊というのは今は日本では害獣扱いですが、ここアムール川沿いでは神聖な動物として扱われています。
人が生きるための食料となる熊に感謝する。
しかもこの文化は、北海道のアイヌ文化や東北のマタギの文化に繋がっている。ロシアから東ににじみ出したこの文化は、日本海の北側を渡って日本にまで及ぶ、一大文化圏を作っていたのです。
以前紹介しました「東シナ海文化圏」では、台湾・朝鮮・琉球が一大文化圏を形づくっていたことを解き明かしてくれましたが、日本の北の方でも同じようなことが起こっていました。
人と自然が調和して暮らすという、広域で確立されたこのような大きな文化が解き明かされることは、これからの人類の存続を考える上で参考にすべきものではないかと思いました。
2013-6-9
カテゴリー:世界の文化と歴史
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