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#253
クマに森を返そうよ
沢田 俊子 汐文社
前回の記事はロシア・アムール側沿いの、神聖なる動物クマについて、でしたが、こちらは「害獣」扱いされるようになった日本のクマの話。
2年ほど前に紹介しました「クマともりとひと」という本は、無下に殺されてしまった熊の記事を見て生徒が「熊を助けたい」と声をあげたのがきっかけで、害獣駆除と称してどんどん殺されていった熊を助けるべく先生が「日本熊森協会」という団体を立ち上げたことを取りあげていました。
そしてこちらの本に書かれているのは、本当は「優しい」熊の生態、熊が山を下りて里に出没するようになった本当の理由、親に内緒で熊と仲良くなったある少年の熊とのふれあいの話、母熊が殺され残された子熊を試行錯誤で育てたある鳥獣保護員の話、そして沢田さんが出会った日本熊森協会の活動の話。
熊と共存する昔の智恵も忘れ去られ、里に出てくる熊を力づくで排除する。そんなやり方でどんどん熊たちを追いつめていったのです。
この本では主に熊のことだけ書いてありますが、実は「熊が里に降りてくるようになった」というのが、熊の住む自然の森の危機的状況を暗示している、ということが分かるでしょう。
危ない熊は殺せばいい、というだけでは、本当に大事な問題が何かを見落とし、ゆくゆくは人間たちにはね返ってくるかもしれませんね。
易しい文で子どもたちにも分かりやすく、もちろん大人にもおすすめの本です。
2013-6-10
カテゴリー:自然環境と災害/子どもの本
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