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#285

父・金正日と私 金正男独占告白

五味 洋治 文藝春秋 (2012)


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 金正男氏といえば、言わずと知れた、北朝鮮のトップであった故・金正日(朝鮮労働党中央委員会)総書記の長男であり、何年か前に偽造パスポートで日本に入りディズニーランドに行つくもりだったと述べたというニュースが記憶にあり、当時は一国の長の元で生まれた世間知らずのボンボンのお金持ちが何かをやらかしたのだろうか、ぐらいにしか思いませんでしたが、この本に写し出される金正男氏の姿は、私が想像していたのとまるで反対の人物でした。

 たまたま空港で出会い連絡先を取り交わしただけという記者の五味さんが、あるきっかけから正男氏とメールのやりとりをするようになり、北京で一緒に食事するまでになります。

 若い時にスイスに留学したこと、北朝鮮が生き残るためには改革と開放を父に提言したこと、その正男氏の提言に父・金正日が警戒したこと、それから正男氏が北朝鮮の政治から一切離れたこと、北京で暮らすことになるが時々は父に連絡を取り合うこと、そして正日氏の後を継いで北朝鮮のトップに立った弟の正恩氏とは面識が無いこと、など、正男氏はメールや直接のインタビューで、北朝鮮本国を刺激しない程度のできる限りの情報を五味さんに伝えます。

 父の政治のあり方に反発しつつも、故郷北朝鮮の人たちを思い、そして父である金正日氏のことも気遣う。日本の記者にも丁寧に対応し気遣う正男氏には好感を持ちました。
 もし正男氏が北朝鮮を引っ張っていったら北朝鮮は良い方に変わると(他の方たち同様に)思うのですが、正男氏は一切政治に関わるつもりも無いようで残念です。

 しかし、今後正男氏が何らかの形で北朝鮮を変えていくことができたら、と思わずにはいられません。

 この本で紹介された内容は金正男像のごく一面ではあるのでしょうけれども、その金正男という人物を通して北朝鮮を見ると、北朝鮮が今までと少し違って見えました。


2013-10-10

カテゴリー:偉人伝・自伝世界の社会事情と外交

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