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#284
「最悪」の核施設 六ヶ所再処理工場
小出 裕章 渡辺 満久 明石 昇二郎 集英社 (2012)
六ヶ所再処理工場というのは、青森県六ヶ所村に建設中の、原発から発生した使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出す施設です。
「核燃料のリサイクル」という名のもとに建設され、本格稼働はしていませんが、原発が1年で出す放射能を1日で出すといわれています。
甘い仮定で、放出する放射能の周りへの影響を計算し、建設費は当初の予定の約3倍にもふくれあがり、数年前に完成予定だったのがトラブルつづきで未だ本格稼働していない、問題施設。
この本では、この再処理工場が津波や地震で大きな事故を起こし、最悪の事態になったときどうなるか、をシミュレーションしています。
これはもう想像の世界を越えています。
原発より遥かに危険度の高い施設ゆえに、最悪の事態に陥った場合の影響は、福島第一原発事故の比ではありません。青森全域と岩手、秋田、北海道の一部は半致死量の3シーベルトの範囲に入り、東京でさえ急性症状が発生する可能性があると推測しています。(ということは、日本はもうダメってことですよね?)
しかもこの施設、立地している土地に活断層が走っているという。しかし、原然(再処理工場を所有する会社)は、これは活断層ではないという主張を繰り返しています。
この施設は稼働させなくても維持費が年間1100億円かかるのだそうです。
これらの内容をおおげさだとする見方もあるでしょうが、果たして「あり得ない」と言い切れるのか。
そして本の最後のほうで明かされた、原子力規制委員会設置法案附則に忍ばせられた、原子力基本法の改正。
「第十二条 原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。
(中略)
第二条中「原子力の研究、開発および利用」を「原子力利用」に改め、同条に次の一項を加える。
2 前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。」
こちらが本命ですね。
核燃料の再処理ができるということは、すぐにでも核爆弾がつくれるということ。
原発より遥かに危険なこの施設、原発より先に廃棄してしまわねばなりません。
2013-10-9
カテゴリー:原爆・原発・原子力/日本の社会問題
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