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#283
最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?
ポール・コリアー 中谷 和男 日経BP社 (2008)
最底辺の10億人とは・・・
世界の人口の80パーセントにあたる約50億人はこれまで貧困の世界に暮らす人たちだったが、近年はその大部分は現在急速に開発が進んでいってるものの、そのうち10億人が暮らす国はこれらの国々から脱落し崩壊しつつある、とコリアーさんは述べています。
なぜこの10億人が暮らす国は底辺から這い上がれないのか。底辺から脱出するにはどうしたらよいか。
それをこの本では解き明かしています。
例えば、内戦とクーデターという政治的紛争。内戦では、鉱物などの第一次産品輸出で得られた金は戦闘資金に化け、若者たちはカネのために(生活のために)戦闘に参加してゆく。クーデターでも内戦同様に国の発展は妨げられ、所得は低いまま。
そして天然資源。資源国では課税の必要が少なくなるので、税の使い方のチェックが甘くなるのだそうです。利益供与で票が動くので政治がうまくいかない。それから内陸国は近隣国に依存するので、これもまた問題が多い。
また、ガバナンスが悪いせいでさらに状況が悪化することも取り上げています。方向転換して良い方向に向かったとしてさほど改善はできないが、さりとて何もしないとさらに悪くなるばかり。
そしてグローバル化への乗り遅れ。資本が不足しているところに大きな資本は動かない。だから底辺の国に資本は流入しない。それどころか、その国の資本はどんどん外に流れていく。貧乏になるばかりである。カネばかりではない、有能な人まで出て行く。
コリアーさんはこれら一つ一つに対する改善策の他、天然資源収入や民主主義、予算の透明性、紛争後の情勢、投資などについて定めた国際憲章の公布など、いくつかの提案しています。
この本でこれらの国の貧困の要因が洗い出され明快になりましたが、それでも一つ一つの問題があまりにも大きく重すぎて、読んでいて途方にくれてしまいます。しかし、少しづつでも何とか実行して、世界が一つになってこれらの問題に取り組み、これらの国々の状況が少しでも上向くことを願ってます。
2013-10-5
カテゴリー:世界の社会問題
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