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#308
天、共に在り
中村 哲 NHK出版 (2013)
アフガニスタンで井戸を掘っていた日本のお医者さんは、今は壮大な水路を作っています。
約30年前、ハンセン病患者の治療のためにアフガニスタンに赴任した中村さん。
ある年大旱魃に見舞われ、治療どころか食べるものにも困る人々の光景を目の当たりにします。
「病気のほとんどが、十分な食糧、清潔な飲料水さえあれば、防げる」と、井戸掘り事業を始め、地元アフガン人たちや数名の日本人ワーカーとともに、多くの井戸を掘り続けます。
やがて、井戸掘り事業は用水路開削事業へと発展し、砂漠化していた土地に水が流れ緑地や農地が広がることになるのです。
ご存知の通り、9.11の報復としてアメリカによりタリバン政権がアルカイダを匿ったとして、アフガニスタンは「テロへの報復」として爆撃を受けますが、多くの海外NGOが逃げ出す中でも、中村さんはアフガニスタンを離れることなく、計画を遂行してゆきます。
中村さんは不屈の人ですね。
付近が米軍の爆撃にあっても、武力集団が付近で事件を起こしても、冷静に対処し、何よりもアフガン人たちのことを思い、活動を続け、多くのアフガン人の協力者を獲得し、厚い信頼を得ました
そのことは、中村さんたちが作った井戸や水路が、やがて中村さんの手から離れても、地元アフガンの人たちが自分たちで直すことができるような構造にしていることにも表れています。
この本のタイトルでもある「天、共に在り」という言葉が中村さんとともにあったからこそ、これらのことがやり遂げられたのでしょう。
ご本人は至って謙虚で、ただただ、困窮を極めたアフガン人たちのために、「言葉より行動」でアフガニスタンの地を水と緑に変えてゆく。
美しいと思いました。
2013-12-30
カテゴリー:偉人伝・自伝/世界の社会事情と外交
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