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#311
祝島のたたかい 上関原発反対運動史
山戸 貞夫 岩波書店 (2013)
原発の建設が予定されている山口県上関町と海を挟んで反対側にある小さな島、祝島。
その祝島の住民が、上関原発の建設に反対し続けた歴史を綴っています。
計画当初、電力会社の案内で他の原発を見学した島の住民は「こんなものは作ってはいけない」と、上関原発建設に反対し始めます。
原発が建設され、稼働してしまえば、仕事場である漁場の環境の悪化が懸念されます。
そして原発の安全性への疑問。
島のおじいちゃん、おばあちゃんたちが、建設に同意させようとやってくる様々な立場の人たちの上陸を阻止しようとひたすら座り込む。漁船を海に集結して、関係者が乗ってくる船を阻止する。
国が、自治体が、電力会社が、そして建設に同意した人たちが、次々と襲いかかる波のように、祝島の住民たちに建設に同意させようとあらゆる手を使って迫ってきます。
祝島漁協に対しての、漁業補償契約の締結と補償金の受け取りの要請。
それを拒否すると、今度は、電力会社による半ば強引な現地の影響調査の実施。
調査を阻止しようと、住民たちは船を出して作業船の行く手をはばもうとしますが、攻防を繰り返しながら電力会社はあの手この手で少しづつながら調査作業に着手し始めます。
島の住民たちは「何とか今の島の暮らしを、環境を守りたい」という一心で、このような行動を実に30年も行ってきたのです。しかも、生活するための漁の仕事をしながら。
本当に、気の遠くなるような話。
それにしても、これを行政や大企業による暴力と言わず、何と言うのでしょう。
福島第一原発事故を境に原発新設の動きは一時的にはほぼ停止しましたが、原発を建設することで生まれる悲劇を、これ以上増やしてはいけないと思いました。
2014-1-19
カテゴリー:原爆・原発・原子力/政治と行政/日本の社会問題
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