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過去の記事

#322

森の力 植物生態学者の理論と実践

宮脇 昭 講談社 (2013)


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 宮脇さんといえば「鎮守の森」ですね。
 日本の森の原点として鎮守の森を挙げ、日本中に鎮守の森をつくることを提唱し、実行しています。そして海外でも。
 東日本大震災の際には、海岸に沿ってマウンドをつくり、そこに森をつくる「緑の防波堤」を提案しました。

 そんな宮脇さんの、自伝的「日本の森」論、とでもいいましょうか。
 宮脇さんが障害の調査研究を通じてそれを実践していったことを綴っています。

 初め雑草についての研究をしていた宮脇さん、「鎮守の森こそが日本古来の森に違いない」と確信、当時残っていた森について日本中を調査をすることに。
 全国を歩き回って植生調査をし、講演するうちに、それに共感する人が表れ、やがて企業から工場の周りの森づくりのアドバイスを求められるようになり、各地の森づくりの指導を行うようになります。
 初期に手がけたものは30年が経ち、立派な森となって、その宮脇方式の効果が実証されました。

 宮脇さんの徹底した「現場主義」が、森の本来の姿を明確にし、それが長く持つ本来の森づくりへと実を結ぶことになったのですね。
 その場所の植生に合わせた植物の種類を選択し、タネから育て、今後の生育を考えた土づくり・環境づくりをし、苗を植える。

「これらの森は、暴風雨や高潮から集落を守る役目を果たすだけではなく、根から地下水を汲み上げて、葉から蒸散させるなど地域の水量調節機能を果たしています。さらに大きな葉からの蒸散作用により、夏は涼しく冬は暖かな環境を提供します。落葉は肥料にもなります。」

 東北でもコンクリートの防波堤などではなく、ぜひ「緑の防波堤」を実現して欲しいものです。その生きた防波堤はきっと、大きな波にも耐えようとする力を発揮し、しかも朽ちること無く今後も何百年と持続してゆくでしょうから。

2014-6-7

カテゴリー:自然科学偉人伝・自伝自然環境と災害

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