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#373
悲しむ力 2000人の死を見た僧侶が伝える30の言葉
中下 大樹 朝日新聞出版 (2011)
中下さんは僧侶でありながら、ホスピスに勤め、余命が多く残されていない方たちに接してきました。
病のためホスピスで生活し、そこで出会った人が語ってくれた様々な方の「言葉」、それはまさにその人その人の「生き様」が凝縮された、宝のような言葉でもありました。
「生まれてきちゃったからねぇ、しょうがないよ」と話していた人、「朝、目が覚めるだけで幸せなんです」と語ってくれた人、「俺のような人生を送るなよ」と伝えてくれた人・・・
人の死が近いとき、その人がどのように生きてきたかという人生像がポロリと顔をのぞかせます。
中下さんはそんな人たちの、数十年生きた人生の結晶を拾い集め、私たちに届けてくれます。
また中下さんは、東日本大震災の際に被災地に赴き、現地でのお手伝いをし、時には僧侶として祈りを捧げます。
親しい方を亡くされた方、捜索や避難のために身を粉にして働く方・・・
中下さんは「被災された方のために」という思いで活動を続けますが、被災者の方たちとの間にたびたび生じる気持ちのすれ違いに悩みます。
「被災者のために」と思って活動をしているのに、その被災の過酷さ故に、被災者の方に文句を言われることがあったり、感謝されないことがあったり・・・しかしそこから、人のために何かをする、ということについて多くのことに気づかされます。
「それでも私は、「人の為」と思った瞬間に「偽り」になる、という言葉を忘れないように」している、という言葉が響きました。
目を背け、そこから離れたくなるような「悲しみ」、その「悲しみ」も私たちの身体や人生の一部であり、それと向き合い受け入れることが「身体」や「人生」として完成される。そんなふうに感じました。
2015-5-18
カテゴリー:生き方/宗教・信仰
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