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読書の時間 #393
お母さんはしつけをしないで
長谷川 博一 草思社 (2011)
世の中の常識は「親は子どもをしつける」ですよね。
ところが、長谷川さんは「お母さんはしつけをしないで」と言っています。
しつけをしないことで『「しあわせ」を最優先にした気楽な子育てをはじめることができる』と言っています。
どういうことでしょう?
長谷川さんは、しつけをするということが、子どもたちにどれだけの弊害をもたらしているかを、様々な事例をもとに説明してくれます。
近年日本各地で起こった、青少年が起こした数々の凶悪な事件。
それらの事件を起こした子どもたちの多くは、周りの人が「真面目」「礼儀正しい」などと評価した子たちでした。
それなのにどうしてこのようなことが起こったのか?
長谷川さんは、その子どもたちの家庭環境の様子から、親に厳しくしつけられ、親との主従関係の中で追いつめられた子どもたちの姿を捉えました。
これらの例は「しつけの行き過ぎ」によるものだったかもしれません。しかし「行き過ぎ」であるかどうかを、私たちはどこで線引きするのでしょう?
長谷川さんはしつけと虐待の境界線について、「私の臨床経験に照らせば、行為者にとってはどちらも同じ心理状態(しつけ、愛情と感じている)でなされているので、区別はつけられない」(p.168)と述べています。
そこで長谷川さんは「お母さんはしつけをしないで」と言います。
しかしその狙いは、コミュニケーションの一方向性を解消することにあります。
つまり、(親子の)「影響関係がどうなっているかを重視すべき」であり、「子どもの純粋な考えや気持ちの表明が自由にできること。それが親に理解されること。そして部分的に親のほうが譲歩することもあるとすれば双方向的なコミュニケーション(=しつけすぎていないこと)になっていると判断してよい」と述べています。
子どもをしつけるというのは楽しいものではありません。
しかし、親が子どもをしつけるのをやめることで、親も子どもも幸せになれるのなら、これほどいいことはありません。
しつけることが子どもにどのような影響を与えるか、ということを知ることは、全く「しつけ」をやめることができないにせよ、これからの子どもへの接し方を大きく変えることができるのではないでしょうか。
実際、私は「子どもを信じること」を読み、子どもへの小言をなるべく言わないようにしたところ、大きな効果がありました。
「しつける」のが本当にこどものためなのか、しつけるのが子どもの将来のためであるならば、子どもの将来だけでなく「今」も大切であり、子どもの将来はその積み重ねであることを考えれば、私たちのこれからの「生き方」も変わっていくことでしょう。
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2015-11-15
カテゴリー:暮らしと子育て
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