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読書の時間 #395

プリンス論

西寺 郷太  新潮社 (2015)


2016-2-1

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 プリンスとは、あの、米国の大物ミュージシャンのプリンスです。
 あらゆる楽器を操り、完璧と言わしめる音楽性、アルバムを出せばヒットを飛ばし、奇想天外なコンセプトで世界中のファンを喜ばせ、まさに「天才」としか表現のしようのない人物。

 私はそれほどファンというわけではないのですが、この本の存在を知った時にある3つのちょとしたギャップを感じ、ついつい手に取ってしまいました。
 1つは、あの「プリンス」に「論」を付けてしまうという、今まで誰も手を出さなかった崇高なタイトル。
 1つは、そんな本が、多くはお固いテーマが取り扱われる「新書」として出版されるということ。
 1つは、さらにはそんな本が宮崎の図書館に置いてあった、ということ。

 そもそもこの本は、西寺さんがある編集者から執筆を持ちかけられたものだそうです。
 「そうだよねえ、日本はおろか、全世界に大物プリンスに詳しい熱烈ファンは無数にいるわけだから、自分から「俺がプリンスを論じてやる」っていう人はなかなかいないよねえ。」と、ちょっと笑ってしまいました。
 きっと、それだけそれぞれ多くの「プリンス論」が存在するわけですから。

 両親の目をかいくぐって子どものころから夢中になって聞き、どっぷりとはまって、自らもミュージシャンになってしまった西寺さんの「プリンス論」は、ファンとしてだけでなくミュージシャンとしての目線でも論じます。

 プリンスの生い立ちから始まり、デビューから発表したアルバムの紹介を中心としたそのころのプリンスの動向やエピソードの数々、音楽的な変化などを、時系列で説明しています。
 デビューして早々からのヒット。グループメンバーとの確執と解散。メジャーレコード会社からの膨大な契約金により不自由になった音楽活動、そこからの脱却。アルバムへのこだわり。
 天才といえどもいろいろあるんだなあと思いつつ、こうしてみるとやはりこれだけ才能に恵まれた人は希有でしょう。

 「〜のような」という比喩の表現がしにくい、まさに「プリンス」としかいいようのない独自の道を黙々と進んでいる姿がよく現れています。

 印象深いのは、多くの有名ミュージシャンが集まって歌った1984年のヒット曲、「ウィ・アー・ザ・ワールド」に、実はプリンスも参加するはずだった、というエピソードでした。(あとは読んでのお楽しみ)

 プリンス初心者はもちろん、私のような「何枚かのアルバムやヒット曲は聴いたことがある」という一般のリスナーにも読みやすくわかりやすい一冊。

カテゴリー:芸術論

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