#18
チビと暮らし始めて1年。
2011-12-12
今日、チビと暮らし始めて1年になりました。
結婚してからずっと夫婦で二人暮らしだった我が家で、突如暮らし始めた、二歳弱の彼女。
乳児院での面談や彼女の我が家への1日訪問、お泊り訪問を経て、1年前の今日から里親としての短期委託を経て彼女の1月の誕生日に引き続き本委託となりました。
チビが盛大なお別れ会してもらった後、職員さんから一通りの説明を受けて、それが済んだらさよならをして三人でひっそりと乳児院を出てきました、受け取った紙袋一つ持って。
紙袋の中にはいろいろな書類と彼女が乳児院にいた約半年の写真を収めたアルバム、音のなる小さなおもちゃが一つ。彼女の持ち物はたったそれだけでした。でも、彼女はすこしわくわくしているようにも見えました。
でも、うちに来てからはなかなか大変でした。最初は比較的おとなしくしてましたが、そのうちあれやれこれやれといろいろ要求してくる。こっちも出来る限りはしてあげるのですが、どうしても出来ないときもある。そうすると、「ギャーッ」と全身を振り絞らん限りの大声で泣き叫ぶのです。その泣き声がハンパじゃない。「お母さんアタシの言うこと聞いてー」という甘えの泣き方ではなくて「誰か助けてー!」と周りに助けを求めるような泣き方。ヨメはどうしていいかも分からない一方、周りから虐待していると疑われるのではという思いでほとほと困っていたようです。
一番大変だったのが夜驚症。夜中に突然「ギャーッ」と昼間以上の大声で泣き出すのです。それがほぼ毎日3時間くらい続きます。毎日夫婦で寝不足。この泣き声で両隣りさんがごとごとと起きだす音が聞こえます。
夜驚症というのは「子供が眠りにおちたすぐ後に、極度の不安感とともに不完全な覚醒の状態になること」( メルクマニュアル医学百科 より)という症状で、つまり眠ったまんま夢を見ながら泣くことで、泣いた本人は自覚がないので翌朝は全く覚えていないようでケロッとしてます。
その時はどうしてか分からなかったのですが、どうやら、昼間や昔あった嫌なこと、怖かったこと、寂しかったことなんかが強烈に夢に出てくると夜驚症になったようです。
甘え方を知らない彼女は、小さいながらも早々に一人で生きていくことを覚悟していたのではないか、そんな気さえしました。
そんな状態が3ヶ月くらいつづきましたが、ヨメの根気づよいつきあいも功を奏して、チビもうちでの生活に徐々に慣れて、それにつれて夜驚症の回数も減ってきました。片側のお隣さんはどうやら引っ越してしまったようでしたが。
今思うと、お互いに試行錯誤を繰り返していたんですね、大人二人対子ども一人で。どうやったらうまく一緒に暮らしていけるかって、対等な立場で。そういう意味では、子どもと一緒に暮らしているというよりは、小さな大人と暮らしているような気分でした。
でもチビも徐々に落ち着いてきた、子どもらしさが出てきたし、甘えてわがままも言うようになってきた。来たばかりの時はあまり表情も無かったのにだんだん朗らかになってきた。少しは言うことも聞くようになったし、聞き分けも良くなった。秋に久しぶりに乳児院に顔を出したら、チビの表情がやわらかくなったと言われました。少しは親と子の関係になってきたかなあと思ってます。
3月からは原発事故による放射能の影響を考えてチビとヨメは埼玉からヨメの故郷宮崎に半分疎開し、半分母子家庭のような暮らしをしてますが、それにしてもヨメさんの頑張りでよく育っていると思います。親子というよりは友達どうしか、もしくは姉妹のようにも見えますが。それにしても本当にこの1年はあっという間でした。
彼女は生まれた後のある時期、一般家庭では経験できない苦労をしてきた、だからこれからは幸せになるだろうと勝手に思ってます。
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