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#30

川苔山への道(前編)~屈辱の撤退


2012-3-21


 ここのところ休日にいろいろ予定が埋まってしまって、しばらく山登りに行ってなかったので行きたくて行きたくてうずうずしてましたが、3/20の当初曇りの天気予報が晴れることになりましたので、ようやく行くことになりました。
 向かうは奥多摩の川苔(かわのり)山。奥多摩では名の知れた低山です。


 青梅線の終点・奥多摩駅までひたすら電車に揺られ、そこから西東京バスに乗ること約15分。
 すれ違いが難しそうな山の道路の途中のバス停、川乗橋で下車。
 通勤時の埼京線のごとく登山客で激混みだったバスでしたが、川乗橋で下りたのはたったの5~6名。
 それぞれ準備を整えて林道を歩き始めます。

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 歩くこと約30分、橋を渡り、林道のカーブの外側に登山道らしき道が。
 上の方を見ると「登山をされる方は十分気を付けて・・・」云々といった看板が。ガイドブックを見ても「林道が川の右岸に渡ったところで右側に向かう分岐が・・・」と書いてあるので、ここが登山口だな、とそこから歩いていきます。道もしっかりしているし、ところどころに目印がついているので、どんどん進んでいきます。

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 ところが。歩き始めて約1時間半。沢沿いを通った登山道が山の斜面を登り、しばらく行ったところでその先の道がよく分からなくなります。
 あれ?おかしいなあ。でも周りをよくよく見てみると、たぶんここであろうというそれらしき道筋が。
 それを辿っていきますが、しばらく行くと全く分からなくなりました。

 こういうときは戻るに限る。5分くらい戻っていったところで、元のルートをみつけ、それはさらに反対側に折れて登っているように見えました。
 ああ、途中で見失ったんだ。そう思いそちらを辿っていきますが、やはり先ほどと同様にその先のルートを見失います。再び戻り。

 しかしこれで終わらず、この後、この道迷いを何回も繰り返すことになります。
 ルートと思って進んだところがそうではなく、引き返そうとすると登山道と思っていた道筋が実はただの山の斜面だったり。キツネか何かに騙されているんじゃないかと思いました。
 無理して降りようとすると山の斜面が崩れ、自分も数メートル下にずり落ち、そこから崩れた土や石が下まで斜面を流れて落石を起こし、沢まで落ちていきました。

 これはもう、かなり前から間違った道を歩いてきたんだ・・・そう確信したのは道迷いを始めてから1時間くらい経ってからでした。これはもっと先まで戻るしかない・・・そう思い、確実に正しい道と思われたところまで戻りました。
 すると、そこから左に折れるように道らしきものが。ああ、これかもしれない・・・そう思って歩き始めますが、その左右に広がるのは、棄てられたわさび田。5分くらい歩いてこれは違うと確信しました。

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 まさに八方ふさがりとはこのことです。
 さきほどの所まで戻り、時間を見るともうお昼。

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 残念ですが、これ以上の登山はあきらめることにしました。
 下山する前に腹ごしらえ。

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 ふと見ると、さっきは気づきませんでしたけど、沢に巨石がどんと座ってましたよ、神さまのように。

 さて、どんどん来た道を戻っていきますが、ところどころで来る時にあるいてきた道さえも迷います。そのたびにさっき歩いたところまで戻り・・・を繰り返し、ようやく登山口のある林道にまでたどり着きました。

 改めて地図を見ると・・・ああ、もう少し林道を上ったところに正しい登山口があったんだ・・・脱力。

 登山口を間違えるという、本当に初歩的なミス。

<ここで反省>

・林道を上ってきたとき、この誤った山道の入口の少し手前に橋があったが、その橋の名前を確認していなかった。(それを確認していれば地図と照らし合わせてここが登山口ではないことを認識出来た)。

・入口の「登山をされる方は・・・」という看板で、自分が行く登山道と信じ切ってしまった。

・歩く道ばかりに注意して、周りの地形の把握を怠っていた。

・正しい登山道も誤った山道も、どちらも沢沿いのルートだったため、ガイドブックの説明を見ても疑問に思わなかった。

・思い返すと、いつも歩く登山道と雰囲気が違うという勘があったのに、それに気を留めず、正しい道と信じて疑わなかった。

・川苔山は昔登ったことがあり、おそらく「前に歩いたことがあるから大丈夫」と心のどこかで思っていた。

 林道を歩き始めた時は前後に人影があったのにあの山道に入ってから見えなくなり、「川苔山ってそんなマイナーな山だったっけ」て思ったのを思い出しましたが、と同時に林道は蕎麦粒山へのルートでもあったので一緒に歩いていたあの人たちはそちらへ向かったのだろうと、自分に都合よく解釈していたのです。思い込みとは恐ろしいものです。

 山登りに行って山の頂上まで到達せずに帰ることになるとは。山歩き20年やってますけど初めてのケース。
 しかもその原因が、天候が急激に悪化したとか、行ってみたら通れなくなっていたとか、けがをして先に進めなくなった、とかではなく、「登山道の入口を間違えた」・・・
 しかも小さなことでは、登山計画書を書き忘れたこと、コンパスを家に忘れたことなど次々と思い出し、相当気持ちが緩んでいたなあとため息。
 山の神様はきっと「オマエ、ナメてんのか、そこそこ経験あるし低い山だから大丈夫だろうってテキトーな気持ちでヤマに入るなよ」って感じで見てたでしょうね。ホント、屈辱的でした。

 あの山道はきっと林業で山の手入れをしたりわさび田へ向かう、いわば業務用の道で、この地に詳しいごく限られた人が登山道として使っていたのに違いないのです、今考えてみると。
 でも、こんな失敗、川苔山のような低い日帰り登山の山で良かったともいえます。これが北アルプスの山とかだったら泣くに泣けない。

 勉強になりました。


 暗い気持ちで林道を下りて行きましたが、途中で、さてバスの時間は何時だろう・・・
 調べてみると、13:41。あれ?今、13:38だ。
 とっさに走り出しますが、川沿いの蛇行したカーブを越えてもまたその先はカーブでバス停まで見えません。
 ああ、こりゃ無理だ・・・とバス停での2時間待ちを覚悟して歩き出しますが、その先のカーブを越えるとバス停のある道路が。
 あ、今13:42だ。何だ、あのまま走ってれば間に合ったのか・・・と思っていたその矢先。

 道路をすーっとバスが通るのが見え、そしてバスの中の職員さん(たまたま運転手さんの他に職員さんが乗ってたんですね)がこっちを見ているじゃないですか。
 思わずおーいと手を振ってみると、バス停を過ぎてバスが減速してくれました。何という幸運!山登りで痛い目には遭ったけど、こんないいこともありました。


 山に登れなかったと、おちおちそのまま手ぶらで帰るわけにはいかない。ここは帰りがけに温泉だ!ということで、奥多摩駅から徒歩10分の もえぎの湯 につかって帰りました。


 ところで、タイトルに(前編)と付けたからには・・・はい、後編があります(たぶん)。
 題して「川苔山への道(後編)~無念を晴らして」(仮)。タイトルだけ決まったので、後は登るだけです(時期は未定)。


カテゴリー:旅と山歩き


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