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#54

親がボケたら、さあどうする?


2012-9-30


 前回に引き続き、また映画ネタです。
 ポレポレ東中野で映画「毎日がアルツハイマー」を観ました。

 やっぱりね、この齢になると、考えちゃうんですよ。将来の親の介護。
 まあ、元気で生きてある日ポックリ亡くなってくれればそれでいいんですけど(当然のことながら早く亡くなってほしいという意味ではありません。念のため。)介護が必要になったらどうしようかな、と。
 ま、その時がきたらそれなりに対応するのでしょうが、やはり心構えがあったほうがいいのとは思います。
 そんな考えは前からあって、以前「親が死ぬまでにしたい55のこと」なんて本を読んだことがあります。

 ところでこの映画。監督である関口さん、長年オーストラリアはシドニーで暮らしてましたが、妹さんの「お母さんが家の中に閉じこもり、誰も入れない」という知らせで急遽帰国、そのままお母さんと暮らし始めます。
 そしてそれからが大変。お母さんは一見何の問題も無いように見えますが、昨日一昨日のことを覚えてません。ある日、病院で診てもらったところ、「アルツハイマー型認知症」との診断。
 お母さんは認知症であることを認めとうとせず、娘である関口さんに八つ当たりしたりしますが、お母さん本人はおそらく感づいているようで、認めたくない気持や恐怖心など、自分自身と戦っている様子がうかがえます。
 対して関口さん、お母さんに「一人で暮らした方が気が楽だ」などと嫌みを言われたり、ときどきカメラを構えていることに不快感を示されたりしますが、それにもめげず関口さんはお母さんをあの手この手で良い方向に持っていこうとします。

 認知症というとマイナスなイメージで捉えられがちで、世の中の実際そういった現場に立ち会っている方々は様々なご苦労もされていることと思いますが、この映画の良いところは、認知症のお母さんを病人扱いせず明るく前向きに持っていこうとするところ。
 もちろんこのご家族のそれぞれの性格もあるのですが、いろいろなことがあってもお互い楽しんでつき合っているようにも見えます。

 関口さん、仕事の関係でおつきあいのあるその道の先生方のインタビューも挟んで、このアルツハイマー型認知症というものがどういうものか、説明してくださるのも必見です。
 「認知症は全体の約5%もいかないくらいの脳の働きが悪くなっただけ」なので、記憶がつながらなく本人がイライラしたり感情を表現する部分は正常なので認知症=全てがダメ、なわけではない、とか、苦しみとか死の恐怖とか、そういう苦しみや悲しみからから離れて本人はわりと満足した世界のなかでおだやかに生きていられて「多幸症」とも呼ばれる、とか。

 認知症というと普通症状は悪化する一方ですから悲壮感を感じてしまうのが普通だと思いますが、関口さんの場合、ある意味そういうものだと受け止め、ふとするとふさぎ込んでしまうお母さんがもっと楽しむようにと、いろいろと策略を練ってある意味楽しんでいるような様子が救われる場面でもありました。

 また、関口さんはこの映画を映画と言わず、「長編動画」と言ってます。ご本人の謙遜もあるでしょうし、実際動画を編集したものなのでそれはそれで間違いないのですが、この粗っぽい映像が表現している「赤裸裸感」が見ている人に親近感を与えるでしょう。実際、これを観ていると、この家族の一員のような気がしてきて、一緒にあれこれ考えながら観ている自分がいます。

 お母さんはまだご健在だそうで、続編が待たれるところですが、この映画は認知症の方と暮らす方々に勇気や希望を与えるのではないかと思います。
 それにしても、関口さんも妹さん家族もあっけらかんとして端で見ていて楽しいし、何よりも関口さんのお母さん、かわいらしいですね。

 もし私が同じような立場だったら、関口さんみたいにこんな風にできるかな?でもこの映画で、仮に親が認知症も含め何かしらの介護が必要になったときのための参考になったような気がします。

毎日がアルツハイマー → http://maiaru.com/
ポレポレ東中野では10/12まで、銀座テアトルシネマでは10/26まで。



カテゴリー:フィルム


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