#147
二つの教訓
2014-10-8
九州に来まして、初めて脱原発デモに参加しました。
もう1ヶ月も前のことなんですけどね・・・こういうネタは書こう書こうと思ってもどうも気が重くて・・・しばらく放置してました。
今のところ日本国内でまだ1基も動いていない原発ですが、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が安全審査後の再稼働第1号になりそう。
重大の事故が起こった時に西からの風が吹いたら、宮崎はもう危機です。(→原発いらない!宮崎連絡会 第2版のブログ→http://toshishome.blogspot.jp/2014/07/blog-post.htmlの下の方を参照)
当初この秋再稼働かとささやかれていましたが、どうやら冬に持ち越しになりそうで、でも政府は再稼働へまっしぐらですからやっぱり稼働してしまうのでしょう。
それでも再稼働反対の声を上げずにはいられません。
川内駅のデッキから。集会に集まった人たち。
強い日差しかと思えば途中で激しいわか雨が降ったりしてヘンな天気でした。
福島から避難してきたお母さんの言葉が、痛々しかった。
よく東京のデモに一緒に参加したIさんが、
私が引っ越す際に贈ってくれた手作りのメッセージボード。
カミさんの日傘に掛けてみました。
駅前を出て国道3号を北へ。
商店街の前を練り歩きます。
東京のデモと比べて、なんとものんびりとしたもの。
ちょっとした散歩です。
おまけ。
デモが終わったら白くまでお疲れさん。
まだまだ九州について勉強不足で、川内というところがどういうところかは詳しくありません。
薩摩川内市としても原発を動かさなければならない事情というものがああり、ただ反対するばかりではいけないということは分かっていますが・・・
しかしですよ、この有様。
↓
(すべて宮崎日日新聞朝刊。拡大してご覧になりたい方は、PC版をご覧ください。)
2014年5月19日
火山対策、大丈夫か?
7月17日
規制委長「安全だということは申し上げない」
市長「国が決めた基準で審査しての結果なので、安全だと思う」
安全はどこへ?
7月17日
原発の審査は国がしとくから避難計画は自治体でやっといて、ということらしいです。
7月21日
半径30km圏外に出るのに最長3日って・・・
福島原発から50kmの飯館村に放射性プルームが来たのは約半日後ですが・・・
7月22日
10km圏外は「柔軟に対応すればいい」って、ずいぶん悠長な?
9月28日
そして御岳山噴火を受けて。
電力側は意地を張っているという印象。
もうここまでくると、もはや思考停止状態で「原子炉本体が安全なら放射能は漏れるはずがないから避難計画はおまけでいい」とでも考えているのでは?と思ってしまいます。
「福島第一原発事故」という教訓がありながら、どうしてそれを活かそうとしないのだろうか。
この事故の一番の問題は、その崩壊した原子炉本体はもちろんですが、それよりも、事故で高い線量の放射能に被爆し、避難したまま帰れず、あるいは高い線量の中で暮らさざるを得ない人たちを多くつくってしまったことであったはず。
原子炉本体や付随する施設の安全審査をしても、避難計画の安全審査・そして避難後の長期計画はしないのでしょうか?
*****
そして、もう一つの教訓。
先述のデモの前日、小林市で行われた野呂美加さんの講演に行ってきました。
野呂さんは、チェルノブイリの子供たちを支援する団体「チェルノブイリへのかけはし」を主催されている方です。
チェルノブイリ原発事故直後からチェルノブイリの子どもたちの支援を続けてきました。原発事故で被曝した子どもたちの様子をよく分かっていらっしゃるかたです。
チェルノブイリでは、原発事故後、4〜5年後から小児甲状腺ガンが爆発的に増加しました。
下のグラフを見ると、被曝時の年齢が5〜9、10〜14歳だった子どもの発症は4〜5年後に急増し、10年もすると減少または横ばいに移りました。しかし、被爆時に0〜4歳だった子どもは10年しても発症は数はどんどん上がっていっています。
(チェルノブイリでは小児甲状腺ガンの発症は事故後4年からだったので、福島の小児甲状腺ガンを発症した子どもたちの発症と原発事故との因果関係は認められない、という政府の見解でした。)
放射能被曝というと「ガンになる」だけだと思われがちですが、実に様々な症状を発症するといいます。
しかも、これらのどれか一つではなく、いくつも。
原因の病名も分からないし、薬でも治らない。
(私がまだ埼玉に住んでいるとき、新聞で「福島では最近子どもたちが、すぐ疲れやすくなり、こんな姿は見たことがない、という声がよく聞かれた」という記事を何回も見かけました。それは、屋外に自由に出れないための運動不足やストレスが原因と推測されている、という見解が紹介されていたように記憶しています。)
ベラルーシでは、これらの症状の原因を探りますが分からず、広島や長崎の医者が調査に来ましたが「風土病」と結論づけられてしまったそうです。
それが放射能との関連が疑われるようになったのは、10年もたってからのこと。
下の図は1990年から2000年の10年間での小児甲状腺ガンの発症数。汚染地では50〜100人になってしまいました。
ベラルーシでの発症率は10万人当たり10人。
そして、福島では10万人当たり30人。
(小児甲状腺ガンの自然発症率は、10万人当たり0.05〜0.1人。しかし、日本政府の見解は、福島で確認された小児甲状腺ガンの発症数と福島原発事故との因果関係は「無い」。)
そして、子どもを守るはずの「国」が、「給食で風評被害解消三本の矢」
(国が我が子を守ると思わない方が安全、という結論を出さざるを得ない、この三者の見解。)
野呂さんは、ベラルーシに母子家庭が多いことに不思議に思ったそうです。
なぜか?
それは、除染作業でお父さんが亡くなっていたからでした。
14年で3万人が死亡。4割近くは自殺で、被曝は精神にも影響を与えることが分かったとこのとでした。
今は除染は原則禁止で、もし行うとしても特殊な軍隊のみだそうです。
チェルノブイリでは、0.2〜0.3μSvで廃村。
一方、福島では0.8μSvで除染。
*****
福島とチェルノブイリという、二つの教訓。
いつになったら、過去に学ぶのか?
あの二つは、本当に「想定外のケース」だったのか?
今後事故を起こすたびに、「想定外のケース」として片付けられてしまうのか?
チェルノブイリへのかけはし http://www.kakehashi.or.jp
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