ツブヤキ #189
神に叱られる
2015-9-25
実はここ1ヶ月半ほど、夫婦間が不仲になっております。
きっかけは些細なことでしたが、これまでも同じことがきっかけでたびたびケンカしてましたので今に始まったことではなく、自分なりに探っていくと原因はさらにいろいろとあり、今までたまっていた相手への不満や、相手が抱えているいろいろな思いを私が受け止めきれなくなったりして、限界に達したようです。
それまではその度に自分で気持ちをおさめてきましたが、今回はどうもこれまで以上に気持ちがおさまらない。
その時私は頭の中に、時々こぼれてしまいながらもあふれるのを何とか防いできたコップから一気に水があふれて止めようもなくなった映像が浮かびました。
それ以降、相手の行動の一つ一つの嫌な点が全て目につくようになり、事務的なこと以外は口をきかなくなってしまいました。
たどっていくと、そんな気持ちの種は、私が埼玉・妻子が宮崎に住む二重生活の頃にも確かにありました。しかしその頃は、妻子が1〜2ヶ月に数日程度埼玉に帰ってくる間しか一緒にいなかったため、さして大きな問題にはならなかったのです。
しかし、私が宮崎に来て家族一緒に住むようになってから、このような気持ちの種は芽を出し生長して徐々に大きくなりました。生活環境は埼玉に住んでいる頃より満足しているのに、家庭の中は埼玉の時のほうが良かったとさえ思うようになったのです。
まあよく考えると、私が宮崎から妻子を埼玉に呼び戻しても、同じ問題が起こったとは思いますけれど。
しかし妻と口を聞かなくなって1ヶ月くらいたつと、さすがにこのままじゃいけないな、と思うようになりました。
それで明日は何とか考え直して仲直りしようかと一日の終わり頃に思うのですが、次の日になると私がまた拒否反応を起こし、元に戻ってしまうのです。
ところが先日、こんなことがありました。
私は毎週日曜に教会に行くのですが、その日ミサが終わり、娘が参加している教会学校の終わりを聖堂入口のソファで待っている間、たまたま通りかかった神父が私の向かいのソファに座って話しかけてきました。
奥さんはお元気ですか、という言葉から始まり、その日のミサで読まれた福音書の一節が、イエスを信じきれない弟子たちの話だったのですが、信仰を結婚した夫婦のいくつかのケースになぞらえて説教されたこともあり、結婚するとお互いを愛さなくなる夫婦が多い、夫婦はお互い愛しているからこそお互いのことをもっとよく知りたいと思うんじゃないんですか、などと話してきました。
神父が何でそんな話を始めたのかなとは思いましたが、まあそうですね、でもそれがなかなかできないこともありますね、などと自分の経験や世間一般的な様子を踏まえて話すと、神父は、結婚して結婚相手を愛さないのは罪ですよ、などと語ったのです。
神父は私とのおしゃべりの一つの流れの中でそれを、しかも一般論として語っただけなのですが、なぜかその言葉だけがひっかかったのです。結婚もしていない神父がそんな理想論言ってと、その時はちょっとカチンと来たのです。
しかし数日後、その言葉がふとした時になぜか頭の中に甦えりました。
その時、いや待てよ、あれは私が神に叱られたんではなかろうか、と、ふと思ったのです。
勘のいい神父ではありましたが、それまで私たち夫婦仲のことなど話したこともなかったのに、あのタイミングで何気なく口にした神父のあの言葉は、神が神父を通して、いつまでそんなことをしてはいけない、と忠告してくれたように感じたのです。
そういえば先日観た映画「アラヤシキの住人たち」は、一つ屋根の下で暮らす多様な人たちがお互い他者を認めながら生活している様子が印象深い映画でした。
これもまた、意固地になっている私に考え直すきっかけを与えてくれたのかもしれません。
ずっと口をきいてくれない夫に、妻は妻でどうしたものかと思ったのでしょう、少し気持ちを入れ替えたようで、それにつれて子どもの様子も少し良い方に変わったように思いました。
仲を修復しようと思う一方で、自分自身が今までと変わらなければまた同じことを繰り返すだろうとも思っていましたので、気持ちが離れ飛んでいってしまった自分自身の軟着陸を図っています。妻との距離が、仲が良かった頃と同じくらいの距離に戻せるように、しかも同じ場所ではなく、もっと良い場所に降りることができるように。
少しづつ、手探りで。
あの神父が語った言葉を、頭の片隅で意識しながら。
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