ツブヤキ #198
神楽の本番(はたしてうまく舞えるのか?)
2015-11-28
練習の日々は過ぎ、ついに神楽の本番の日がきました。
天気は朝から曇り。夕方には雨になるという予報。
どうか天気が持ちますようにと祈りながら準備をします。
神楽の前に神事が行われるので関係者は早めに集まりますが、神楽を楽しみに神社を訪れる人がもうすでに集まり始めていました。
拝殿の中では、慌ただしく準備が進められています。
そして時間になると来賓の方々が次々に入られ、一同が揃うと神事が始まります。
いつもは空き時間は遊んでばかりの子どもたちも、このときは静かにしてくれました。
それが終わると、再び準備で慌ただしくなり、やがて太鼓の音が響いて、神楽の舞が始まりました。
舞を舞うのは主に若いお兄さんたち。神楽教室の時に、代わる代わるいらっしゃって、いろいろ教えてくれた先輩方です。
舞台の周りはカメラマンたちが陣取ります。
番付けが約20ありますが、神楽教室で練習した舞しか知らない私は、他の舞を見て夢中になってしまいました。
かっこいいし、番付けによっては動きが激しく、観ている人たちを飽きさせません。
私が子どもの頃にこのような行事に出会っていたら、きっと「自分もやりたい!」と思ったことでしょう。
特に、練習の時のお兄さんたちの姿を知っている自分は、神楽の衣装で面や飾りをつけ舞っている姿が別人に見え、見とれます。
番付けは順調に進んでいきますが、ずいぶんと時間も押して、娘の出番の少し前からぽつりぽつりと雨が降り出しました。濡れないように太鼓にもござがかぶせられ、せっかくここまで天気ももったのになあ・・・と思ってましたが、様子見でそのまま続行されました。
そして子どもたちの準備。きれいな衣装を身にまとい、かわいらしくなって、本番を待ちます。
太鼓の音がして、子どもたちは一列になって舞台に向かいました。
私も観たかったのですが、今度は私が出る番付けの準備があり、拝殿の窓からちらりちらりと子どもたちを観ます。
順調に進んでるな、これなら大丈夫かな、と思いながら。
私の方は白衣を着て、袴をつけて・・・経験豊富な皆さんは一人でどんどん準備してゆきますが、初めての私は人では何もできませんので、すべてやってもらいました。
そして最後に、鬼神の面。
この面が木彫りなのですが、約500年前からある、貴重なものなのだそうです。落ちないように、頭が少し痛くなるくらい、ひもできつく縛ってもらいます。そして面の小さな穴から外を見ると・・・本当にほとんど見えません。
かろうじて誰かがいるのは分かるのですが、方向と距離感がうまくつかめません。階段を下りるのも一苦労。そろりそろりと、どなたかの手に引かれて階段を降ります。
そして舞台に上がり、4人揃うと(本当は5人ですが、事情により一人欠員)、太鼓の音がさらに強くなり・・・前の人が進むのを確認して私も惹かれるように進みます。
一緒に舞うメンバーが「動いている」というのは確認できますが、どんな動作なのかがなかなか把握できず、頭の中が混乱しました。
こうなると、太鼓の音がだけが頼りです。向きを変えるときに小さな穴から隣の人の動きで今自分の動きが合っているかどうかを確認するのが精一杯。
しばらくして、見事にトチりました。
違う場面でする動きをしてしまったのです。
ぱっと見ると後になるはずの隣の人がこちらを向いています。
慌てて反対側を向いて、前の人に続いて歩きます。
鬼神棒も反対の手に持っていたことに気づき持ち直しました。
それからは少し気持ちが吹っ切れました。自分の動きを頭の中で想像し確認しながら、向きを変えるときに隣の人の動きを確認するのに慣れてきました。
それ以降は間違えることもなく、最後まで何とか舞い通したのでした。
とてもうまく舞えたとは思えませんでしたが、それでも「何とか出来た」という気持ちはとても心地の良いものでした。
それと同時に、若い先輩たちがどれだけ「すごい」のかを、身をもって感じました。
相変わらず曇ってはいましたが、雨はいつの間にか止んでいました。
娘と私の、晴れ女・晴れ男パワーが少しは効いたのでしょうか。
神楽が終わりに近づくにつれどんどん盛り上がり、歓声も大きくなってゆきました。
最後は天の岩戸が開かれて小さな小さな天照大神が現れ、神楽は終わります。
5時間半に及ぶ舞はあっという間でした。
この2ヶ月、共に舞の練習をし、同じ舞台で舞った子どもたちはすっかり仲良くなり、神楽が終わった後もいつまでも遊んでいました。
また来年も、この子たちが一緒に舞えるといいなあと思いました。
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