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#45

朝日連峰縦走の旅(前編)~どたばたの山行計画

 毎年夏は恒例で山に行くのですが、昨年は行けませんでした。だからそろそろ行きたくて仕方なかったのです、山の旅。

 昔は北・南アルプスや上越の山によく行ってましたが、最近のお気に入りは「東北の山」。
 一昨々年は新潟~福島~山形の飯豊連峰、一昨年は岩手の早池峰山に行きその足で遠野をぷらぷらし、そして今回は東北第3弾、朝日連峰。

 東北の山って、登りに行くのにちょっとハードルが高いのです。遠いし、現地の交通の便は悪い。北・南アルプスのように山小屋で食事は出ませんから、食事は持っていかなければなりません(私は食事が出る小屋にでも食料を持っていく稀少派ですが)。 縦走 しようとすれば必然的にある程度重装備になります。

 いつもは8月初めころまでが高山植物の花の咲く時期なのでその頃を狙って山の予定を組んでいましたが、今年のスケジュールは8月はいろいろありそう。東北の梅雨明け待ってたら行けなくなるかも・・・それならば、海の日付きの三連休に行ってしまえ。ということで、それを決めたのが出発の3日前。

 ・・・バタバタです。現地に行くまでの交通を調べ、登山ルートを調べ、持ち物で足りないものを調べ・・・

 最初検討したルートは、朝日連峰の西側(泡滝ダム)から東側(朝日鉱泉)に抜けるルート。最寄り駅はそれぞれ鶴岡駅、左沢駅になります。ところが。
 調べてみると、・・・
 鶴岡駅から泡滝ダムまでは途中まで路線バスがあります。そして路線バスから接続する期間限定バスが、この日初運行だとか。これなら駅から登山口までバスで乗り継いで行けます。しかし。
 下山口である朝日鉱泉から左沢駅までの期間限定バスの運行は1週間後から。この連休に行くとなるとタクシーを使わないと駅まで行けません。料金は1万円ほど。
 うーん、他の出口を調べるか。・・・すると、南側(五味沢)に抜ければ小国駅まで通年運行のバスがあることが分かりました。

 これだ。ルートは決まりました。

 でもその後、いろいろと問題発生。

問題その1 鶴岡までの夜行バスの便を間違える。

 「夜行バス=現地早朝到着」とすっかり思い込んでいました。しかし、予約した夜行バスの予約完了メールを後からよくよく見ると「鶴岡駅8:30」着。・・・ああ、路線バス、もう出てるわ・・・あわてて鶴岡駅5:10着のバスに変更しましたが、当然のことながらキャンセル料はしっかり取られ。

問題その2 泊まろうとしていた山小屋の一つがある事情で泊まることが出来ないことが分かった。

 最後の晩に泊まる予定にしていた祝瓶山荘。要予約とあったのをすっかり忘れ、新宿から鶴岡行きのバスに乗る直前で思い出し、電話。
 「もしもし、月曜夜、宿泊を予約したいのですが」「あ、そうですか、では鍵をお渡ししますので当日鍵を取りにきてください」「どこに取りに行けばいいですか」
 おばさん、場所を言ってましたがよく分からず。「歩いてどれくらいかかりますかね」「歩いてじゃ来れないねえ、車じゃないと」「へ?あの・・・別の山から来てそこに泊まって、また別の山に行くつもりなんですけど」「別の山から来る?うーん、そういう人いないからねえ、だいたいは長井(地元)から来て祝瓶山に行って戻ってくるからね」「・・・」

 妙案浮かばず、とりあえず1日に歩く距離をそれぞれの日で増やし、山上での1泊分を減らすというプランに変更しました。


a0045_1.jpg行ってきます!
 さて、仕事が終わってからすぐにうちに帰り、荷物を持ってすぐに新宿へ向かいます。夜、バスは新宿を出て東京駅などを回るとその後鶴岡・酒田方面へ。


a0045_2.jpg砂利道を揺れながら走ってきたバスとはここでお別れ。
 夜行バスは鶴岡には土曜の早朝に着きました。予定通り、路線バスと期間限定のバスを乗り継ぎ、登山口の泡滝ダムの手前へ。10時前に着きました。


a0045_3.jpg3つの雪の塊のうち右側のは、イサム・ノグチの彫刻「土門さん」みたいでしょ。
 さて出発!川に沿ってどんどん登っていきますが、途中にはまだ雪も残ってました。


a0045_4.jpgぽつぽつと雨も降ってきました。
 途中、ブナの森の中をどんどん登っていきます。



 登っている間、雨が降ったり止んだり。3時間半ほど歩いて1時半頃、ようやく小屋に到着。今日はここに泊まります。


a0045_5.jpgどうですか、見てくださいこのくつろぎ方。すっかり居酒屋化してます。
 隣では地元の仲良し4人組と思われるひとたちが鍋を囲んで酒飲んでました。


a0045_6.jpg明日はいよいよ稜線の上へ。晴れるかな?
 しばし休んでいたら、少し晴れてきました。


 2日目。

 5時出発の予定で4時前には起きましたが・・・ああ、ザーザーいってる。そういえば夜中、雨のすごい音してたなあ。

 残念ながら雨。うーん、もう少し待ったら少しは弱まるかな・・・そう思い、しばし待つこと1時間半。しかし、どうやら今日一日はずっと雨らしいということが分かりました。

 就寝の時私の隣だった男性が、今日は帰ると言いました。「家が山形で、何回も来てるんですよ。だからまた来ます。」と。「先に行くのなら早めに行ったほうがいいですよ。今なら竜門小屋まで行けますよ。」

 本当はその先の朝日小屋まで行きたかったのですが、すでに出発時間がかなり遅れてます。とりあえず今日はその手前の龍門小屋まで行って、明日早めに出発すればいいか・・・

 最初の山である以東岳までこの先のルートは2つあります。
 一つは稜線にすぐに出て以東岳へ至るルート、もう一つはしばらく下を歩いて以東岳の直前で一気に登るルート(直登コース)。その男性は「上のルートは時間かかるから下のルート(直登コース)を行ったほうがいい」と言います。その後小屋の管理人さんにも「下のルートのほうがいい。上は風が強いから。下は途中に 徒渉 があるけど靴が水につかるくらいだから大丈夫」と言います。

 雨が激しいので、時間の短い下のルートで行くことに決め、支度をして出かけました。
 しかし、15分くらい歩いたころ。向こうからずぶ濡れの女性2人がやってきて「この先行くの?行かないほうがいいよ。途中の川、水がここまであるから」と言って腰の高さを指すじゃありませんか。え?そんなに水かさがあるの?反対方向からこっちへ向かってきた女性2人はそんなに川に水かさがあるとも知らずに来てしまったので、戻るに戻れず川の中を腰までつかりながら渡ってきたようです。

 こりゃだめだ。戻って上のルートを行くことにしました。

a0045_7o.jpg強風強雨、視界不良。
 急騰の登山道を這うように登っていきます。森林限界に近づくにつれて、どんどん雨と風が強くなってきます。そして稜線に出ると、もう、まともにまっすぐ歩けない!

a0045_8o.jpg登山道、滝になってます。
 靴もレインウェアもゴアテックスの完全防水体制で臨んだのに、あまりに強い雨とところどころの川のような登山道で、数時間歩くとすっかりびしょぬれ。

a0045_9o.jpg左からヨツバシオガマ(四葉塩竃)、ナンブトラノオ(南部虎の尾)、ヒメサユリ(姫早百合)
 でも、強風になびきながらもしたたかに咲き誇る数々の高山植物には気持が癒されましたよ。


 強い雨風は一向に止みそうもなく、視界が悪いので瓦礫の平場が広がる部分では何度も道迷いをし、その度に分かるところまで戻って地図とコンパスを見比べ、進路を修正するということを繰り返したため予定時間を大幅に遅れ、ただでさえ登りでひーひー言っているのに強烈な横風から体勢を整えなければならないので余計な体力を消耗。

 途中の狐穴小屋に3時半に着きましたが、目的の龍門小屋まであと2時間半。
 しかし、悪天候と予想以上の体力の消耗とこの先での道迷いの恐れを考え、その先に進むのを断念し、この狐穴小屋に泊まることにするのでした。

 これで南側(五味沢)に抜けることは日程的に不可能となりました。

つづく。


2012-7-21

カテゴリー:旅と山歩き

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