#106
超高齢者医療の現場から 「終の住処」診療記
後藤 文夫 中央公論新社
老後のこと、若いうちから考えたことがあるでしょうか。長生きしたい人、だらだら生きずにポックリいきたい人、いろいろだと思いますが、後期高齢者のうちでも85歳以上を超高齢者と言うそうで、そうした人たちが病に冒されると他の世代とはちょっと違った大変さがあるようです。
後藤さんは那須の社会福祉施設の病院で診療しているお医者さんです。
ここでは様々な超高齢者のケースを事例に挙げながら、超高齢者の病に伴う様々な事例について説明してくれます。本人が弱ってしまっていることをいいことに家族から年金を使い込まれるケース、家族に、金がかかるからあまり入院させないでくれと言われるケース、そして認知症になって家族とトラブルになるケース。そして介護施設が足りない現状、それと同時に医者が足りない現状。
これらは、本人がそうしたことを望まないのに、身体的な衰えで必然的に自分自身と介護者が道連れ状態で疲労していくので、なおさら事態は重いのですね。
現在でさえ超高齢者医療の実態はこの有様です(もちろん、そうではないケースもたくさんあるとは思いますが)から、今後どうなっていくのかを考えると、気持ちも暗くなるというものです。
日本の終末期医療は発展途上なのだそうです。「医療システムは高度だが、在宅医療など、患者や家族に寄り添うケアが難しい」のだとか。
最近は、無理して長生きせず、本人が苦しまずに穏やかに亡くなる「尊厳死」という考え方も広まりつつあるようですが、自ら死を選択するということでありますし課題は多いようです。
では、こうした「超高齢者」になっても元気でいられるにはどうしたらよいか?それについても書いてありますよ。
それは、「中年期からの健康管理」。まあ、あまり目新しく見えませんが、やはり当たり前のことが大事といったところでしょうか。
いずれにしても、こうしたことが起こるかもしれない、と知っているのと知らないのでは今後の準備が違ってくると思いますので、自分自身の老後の備えのためにもぜひ知っておきたい内容ではあります。
2012-2-15
カテゴリー:医療と健康/生き方
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