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#150

なみだふるはな

石牟礼 道子 藤原 新也 河出書房新社


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 生涯をかけて水俣病について取材をし、その様子を綴ってきた作家・石牟礼道子さんと、東日本大震災後すぐに東北に入った作家・藤原新也さん。
 この2人による対談の記録。

 石牟礼さんは「苦海浄土」でチッソという会社の排水により引き起こされた水俣病という病に水俣の人たちが冒されていく様子を描いていました。

 対談の軸になっているのは、石牟礼さんによる水俣の話ですが、「苦海浄土」を読んだときに感じた時同様、福島第一原発の政府や東電の対応がこの水俣病問題の際のそれと驚くほどぴったり符合することに改めて驚くのです。
 本当に、歴史は繰り返すとはよく言ったものです。

 ショッキングだったのは、今の若い世代にも水俣病の症状が見られる例があるということ。被害は代々受け継がれていく。福島第一原発の件の行く末を占っているようで、なぜもまあこのような同じことをくりかえしてゆかなければならないのか、と憤りを感じました。

 このお二人は仲がよろしいようで、全体的にそんな話ばかりではなく、お互いの子どもの頃の体験や食べ物の話など、気兼ね無しに自由にお話ししている感じがよく表れていて、石牟礼さんの水俣の話も、発表した作品の補足をしているような、そんな貴重なお話に接することが出来るのがよかったです。

2012-6-10

カテゴリー:科学技術評論・エッセイ・ルポ日本の社会問題
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