#160
アメリカ人はなぜ肥るのか
猪瀬 聖 日本経済新聞出版社
先月はすっかり文章を書くのが億劫になってしまいブログ更新をサボっていましたが、そろそろ図書館から早く本を返してくださいとの催促が来始めましたのでぼちぼち書き始めようかと思います。
私はアメリカという国に行ったことがありませんので、この本を読むとそんなに太った人がたくさんいるのか、と思ってしまいますが、肥満はかなり深刻な社会問題のようですね、アメリカでは。
なぜそんなに肥満の人が増えてしまったか。それは経済格差と関係があるようです。
その昔1970年代ころ、トウモロコシの不作でトウモロコシ農家が大打撃を受けたそうです。時の政府は救済策として補助金を出した。ところが不作が終わってもその補助金制度を止めなかったために、トウモロコシの値段が下がってしまった。
そしてどうしたか。別の食べ物の原料となったのです。甘味料、牛や鶏のえさ、など。コーラ、ハンバーガー、チキンナゲット・・・そうです、ファストフードの原料です。
大量かつ安価に生産されたファストフード、貧困民の財布をしっかりと捉えました。
しかし、アメリカという国は、毛細管のように、生活の隅々にまで戦略化された資本主義経済が入り込んでいるんですね。
貧困民が多く住むコミュニティーには、ファストフード店ばかりで新鮮な野菜を買える店が無いところも多いといいます。自由な国は、同時に不自由な国でもあったわけです。
甘すぎる、そして塩辛すぎるファストフードはその刺激の強さから子どもたちの味覚にしっかり刷り込まれ、子どもたちの味覚は鈍感になりました。
猪瀬さんは、いずれ日本もアメリカのようになるかもしれないと警告します。確かに今の高齢の世代は和食で育ってますから大丈夫でしょうが、今の子どもの世代はファストフードは当たり前です。砂糖のたっぷり入ったペットボトルのソフトドリンクは当たり前のように飲んでますし、ファストフード店は大盛況です。
家庭の生活の中にすっかり溶け込んだファストフード。家庭の中での食育が当てにならなくなった今、これからは教育の中で、健康的な食について子どもたちにしっかりと教えていかなくてはならないのかもしれません。
2012-8-1
カテゴリー:食と農/世界の社会問題/医療と健康
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