#161
土の文明史
デイビッド・モントゴメリー 築地書館
地球上の土壌は人間の体で言ったら、せいぜい皮膚ぐらい。そんなに薄いものなのだそうですよ。
人類の食料の確保は狩猟から作物の栽培に移り、地球上で長年育くまれてきた豊かな土壌により作物は育てられ、人類に作物を供給してきました。
しかし、文明の発展とともに土壌は疲労し、流出し、失われていきます。
例えば北アフリカ。あるいはイースター島、あるいはアイスランド。
これらの地域はその昔、世界の他の土地同様に、緑豊かな土地だったといいます。
しかし、現在は緑は失われ、農業にも適していない土地となりました。
作物の栽培は生産性が優先され、長期的に使用することを前提とした管理や養生が行われなかったようです。
デイビッドさん、世界中の土地の歴史を調べ、文明の崩壊が農業の崩壊や緑の喪失とともにあることを確かめました。
あるいは植民地とされたところでは、モノカルチャーにより土地を疲労させ、使い捨てられ、その後のその国の農業事情にも影を落とす。
そして、石油に依存した現代の農業。長期的な持続を前提としない現代農業は、石油文明の終焉とともに終わりを迎えるとも。
土とはいったい何でしょう。
人が生きるための作物を育てる「母なる大地」でありながら、人はそれ相応の扱いをしてきたでしょうか。土は作物を生産する「機械」ではなくて「自然」であるということを忘れてしまわなかったでしょうか。
いろいろと考えさせられる本でした。
2012-8-1
カテゴリー:世界の文化と歴史/地球の環境と資源
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