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#182

原子力と日本病

村田 光平 朝日新聞社


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 まず、前置き。
 この本が出版されたのは2002年。ちょうど今から10年前です。そのことを頭に置いて読み進めると、とても驚きます。

 原発の問題点はもちろん、チェルノブイリで起こった事故が日本でも十分起こりえること、原発が無くても電力は十分まかなえること、今後は太陽光や風などを利用した環境型エネルギーの利用が望ましいこと。

 今、さかんに世間で議論されていることが、そのまま書かれているのです。人口問題や食料問題や空気・水・土壌の汚染など、世界中で深刻化してきた様々な問題もそう。
 言うなれば、10年前と変わっていないということです。

 なぜこんなことになるのか。
 村田さんは、そこに日本人に見られる悪い面が、世界中に蔓延しはじめたからと分析し、それを「日本病」と名付けます。

 日本病。その構成要素を村田さんは「三カンの欠如」と呼んでいます。
 三カンとは、「責任感、正義感、倫理観」。この「三カンの欠如」ゆえに、地震国である日本にこれだけの原発をつくってしまったのです。

 村田さんはその「三カン」を取り戻し、「足るを知る経済学」をエコ・エコノミクスと呼んで、これに基づいた経済体制をつくり、「三カン」の欠如しない新文明を築き上げることを提唱します。
 その内容については先日読んだ「幸福王国ブータンの智恵」の内容に符合するところがあったのでちょっと驚きました。ある意味、「幸福の国」ブータンの人々は既にこれを実践していたのだと。
 これからの時代はこのような流れで新しい時代に移ることを期待したいと思います。

 元駐スイス大使の村田さん。最近、福島第一原発4号機が再び大きな地震によって崩壊すれば人類未曾有の危険にさらすことが予想され、世界中がこのことについて懸念、早急に対応するよう総理に書簡を送ったことが(一部で)話題になりました。


2012-10-25

カテゴリー:原爆・原発・原子力政治と行政日本の社会問題

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