「生い立ち」の学習

ツブヤキ#238

埼玉に住んでいたころ、里親仲間の間で、小学校では「生い立ち」について学ぶ授業があって困った、という話をちらほら耳にしました。

子どもが学校から、生まれた時の写真を持ってくるように、とか、お父さんお母さんに自分が生まれたときのことを聞いてくるようにと言われ、どうしたものかと悩んだというのです。

里子によっては、生まれたときの写真が無かったり、里子が生まれたときの状況を里親があまりよく知らなかったりします。様々な事情があって実の親から詳しく訊けない場合もあるので、児童相談所の担当さんに訊いてもある程度以上のことは分からないこともあります。

我が家の場合も、娘が生まれた時の写真は無いし、産まれた時の状況はあまり知らない。

生い立ちの授業があったときに、どんなことを聞かれるのだろうか、と気になっていました。ですから、先生の家庭訪問の時には、まあそのあたりをご配慮を、と予め軽くお願いしていました。

そして昨年冬の授業参観。

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テーマは「わたしのたん生」。

ついに来ました、「生い立ち」の授業。しかも授業参観・・・

この時は、特に事前に娘から彼女の生い立ちについて尋ねられてもいなかったので、どんな授業になるのだろうか・・・?と不安半分、でも楽しみも半分。

授業参観当日。

教室で動画が流れました。結婚したお父さんとお母さんが仲良く暮らし、やがてお母さんのおなかが大きくなって、赤ちゃんが生まれて、お父さんとお母さんが愛情をもって育てている、そんなストーリー。

それから、クラスの一人の男の子のお母さんが、体験談を話してくれました。まだお母さんのお腹の中にいるときの男の子の写真も見せてくれました。

そして、実際の赤ちゃんとおなじくらいの大きさ・重さの赤ちゃんの人形を、希望する何人かの生徒が抱っこしてみました。うちの娘も手をあげて人形を抱っこしました。

授業はそんな感じで終わりましたが、自分はどうやって生まれてきたのか、という、どの子どもたちでも持つ疑問に応えられる一般的な内容で、まあ良かったのではないかと思いました。

夕方、学校から帰ってきた娘に、「今日の授業参観の授業、どう思った?」と聞いてみましたら、「うーん・・・(人形の)赤ちゃんが可愛かった!」とのこと。

・・・彼女の感想は、授業の目的からはちょっとずれていますが、彼女にとってはそれが印象的だったのでしょうね。

後日、担任の先生から、あの授業ではうちの娘がどう思うか、と気にしながら授業した、とおっしゃってくださり、先生の心遣いに感謝しました。

ところで、「生い立ち」の授業はこれで終わりではなかったようで、今年に入って娘が「書いて」と、こんなことが書いてあるプリントを渡されました。

・「名前の由来」

・おうちの人の話「こんな赤ちゃんでした」

・・・やはりきたか。どう書こうか。

娘はどんなことを書いてくれるのかと興味があるらしく、横で見ています。

娘から渡されたプリントを前にしばらく悩みましたが、変に取り繕うのではなく、答えられる範囲のことを、自然な感じで書こうと思いました。

「名前の由来」は、たぶん産んだお母さんがこんなふうに思ったのかも、という思いも込めて。

「こんな赤ちゃんでした」では、私達夫婦が会った時はもう赤ちゃんではありませんでしたが、私達が持っている中でも一番古い写真を貼り、ぱっと頭に浮かんだことを書きました。

彼女が大人になって、またいつかこれを手にとって見返すことを思いながら。

書き終わって、はい、と娘に渡しましたら満足そうに持っていきました。

2年生も終わる頃、娘は冊子の形になったものを持って帰ってきました。

私が書いてあげたプリントといっしょに、これまでの思い出について書くページも綴じられていました。

妻によると、娘は小さな頃の写真もたくさん選んで学校に持っていったそうですが、全く使われなかったようです。

そこには楽しかった思い出がのびのびと描かれており、彼女が今までの子ども時代を楽しく過ごしたんだなあと改めて感じ、彼女の生い立ちについてどう説明しようかとあれこれ考えたことなどどうでもよくなってしまいました。

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